たとえ100項目の注意を守ったとしても。

前日の日記(下品ですみませんでした、でもごく一部で大好評だったような (笑))の続き。


前日にも記したが、こういう話題を見ると、メディア・リテラシーとは、そもそも成り立つものなのだろうか、ということをつい考えてしまう。


google:メディア・リテラシー
メディア・リテラシー - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/メディア・リテラシー


(コレ読んでる人には、俺なんかよりよほど専門家やエキスパートがいると思うけど。)


かめぞさんの先般のエントリのオチに加筆すると、メディア・リテラシーを育む心がけ・注意事項は、一般的に:

  1. 引用が正しくされていない(出所が明確でない)情報を信じない。
  2. チェーンメールを信じない、回さない。
  3. 自然だって食べ物だって、いろんなものに見えます。人間だもの。
  4. 裏を取れ。少なくとも、複数の情報源にあたる努力を。最低でもググれ。
  5. すべての情報には発信者の“思惑”がある。背景の思惑を読むか、想像しろ。
  6. すべての情報は“偏向”している(ポジティヴにせよネガティヴにせよ)と知れ。

etc...


こんな感じだろう。


んで、先日の日記で引用した:

  • いわゆるトンデモさんとかビリーバーとは異なる、
  • 善意の一般ピープルで、
  • でも、いわゆるスピリチュアル的な話題には親和性というか憧れがある

という種の人々――仮に“スピリチュアル無党派層とでも命名してみよう――の問題点とは何だろうか。


それは、「リテラシーがオフになる」ことにあるのではないか、と思う。


そもそもメディア・リテラシーというものは、常時「オン」であるもの、というより本来「オフになる」なんてことは有り得ないはずのものだ。


上記の注意事項が例え100項目になったとしても、スピリチュアル無党派層の人が「メディア・リテラシーをなんかのきっかけでオフにしてしまう」というメンタリティや行動様式を持っている限り、その注意事項は無効なのではないか。ちょうど、どんなに強固なセキュリティ・システムに守られた機密施設やマンションでも、中から開けて招き入れたら無駄なのと同じで。


では、スピリチュアル無党派層”人々が「こういうときにはついメディア・リテラシーをオフにしてしまう」条件とはなんだろうか。


どうもそのキーワードは「素敵なこと」であるらしい。


「空と雲と陽光が人が、手を差し伸べている(笑)形をしている」画像に、「沖縄」という、いかにも「癒しのパワースポット」の地名がくっつけられた結果、「まぁ、なんて素敵なこと!」(←KABAちゃんの声を想像して読んで下さい)となってしまって、リテラシーのスイッチがパチン、と切れてしまうという。しばらくググればオチが見えたかもしれないのに。これが俺が「無残なお人好し」と呼んだ所以だ。


だが。


「素敵なこと」に接すると「メディア・リテラシーをオフにしてしまう」というメンタリティは、こといわゆるスピリチュアル周辺に限らない。


例えば、音楽の世界では、1ヶ月くらい前に出回った「芸大で小泉文夫の資料の散逸」というチェーンメールはどうだ。

google:小泉文夫 資料 散逸


これ、けっこう信頼のおける人たちの、Webサイトやメールやブログやなんやらにコピペされてたんで、ヘコんだ....。


これは、最初にチェーンメールまがいの呼びかけがいくつかのブログに転載されたっきり音沙汰なしなのだが...「熱血学生さんの先走りでした」っつうことでひとまず沈静化した、実際の実効的な取り組みや働きかけはあらためてこれから、ということでOKなのかな....?その後情報が流れてこないということは、デリケートな問題について当事者間で協議中、という段階なのかしら。だとしたら、蒸し返すようでたいへん申し訳ない気もするのだが...。


「Cloud of Goatse」事件において、人にリテラシーを停止させる「素敵なこと」とは「空と雲と陽光が何か神秘的な形をしていること」だったわけだが、「小泉資料室」騒動では「素敵なこと=当局の横暴を許さないこと」であるわけだ。


音楽(特にジャズ、ロック、民族音楽etc)/演劇/舞踏の関係者には「プロテストすることが美しい」という“麗しき伝統”があるから、こういうチェーンメールまがいの呼びかけがあれば「てーへんだ!こうしちゃいられねぇ!」とコロリと引っ掛かってしまうわけだね。


いや、俺だって反対だよ?署名運動がきちんと組織されていてその運動が大学当局に本当に“効く”もんならいくらでも署名でもメールでも送るよ?でも、これもやはり「メディア・リテラシーをオフにしちゃってる」のは事実だよね?そこんとこが気になっちまうんだよなぁ。


それにしてもその後、どうなったんだろうね、小泉文夫研究室問題。芸大のOBにはそらもう綺羅星のごとき錚々たる楽家や研究者の人々がいるわけだし、小泉文夫先生の薫陶を受けた人たちも沢山いることだろうから、いい方向に解決するといいね。勿論今後何か動きがあれば署名なりメールなりカンパなりするつもりですよん。


ここは「永田町」ならぬ「上野」の“小泉チルドレン”が“無党派層”をどんだけ動かしてくれるのかに期待、と。上手くまとまった(笑)。