最近のスピリチュアル／おまじない系のトレンドは「狂ってる」ところまで行ってるのではないか。
....ということをちょっと検証してみたいと思うのである。
昔から、スピリチュアル／おまじない系の雑誌・Web界隈は、全く興味の無いノンケの部外者である俺から見ると「ちょっと笑っちゃう」ようなネタが多くて、俺なんかは生暖かくウォッチして楽しませていただいていたものなのだが...最近、ちょっと「コレはどうよ？」というものが増えてきているような気がする。
■ 月に向かってフリフリよ！
そう思った切っ掛けは、確か、ライター／編集者のかめぞさんがやってるニセ科学研究ブログ「PSJ渋谷研究所X」
http://shibuken.seesaa.net/
で知った*1「通帳フリフリ」「満月フリフリ」「満月踊り」とか呼ばれるヤツ。これは「おまじない」の一種なのか？
gooブログ検索の検索結果
http://blog.search.goo.ne.jp/search_goo/result/?simframe_url=/search_goo/result/&MT=%CB%FE%B7%EE+%A5%D5%A5%EA%A5%D5%A5%EA&mod=&dc=10&st=time&from=web&rm=&ts=all
mixiのコミュニティに「満月の力で臨時収入を得る会」というのがあって、そこに書かれている「インストラクション」が、あちこちのブログにコピペされているのである。
このコミュが“総本山”なのかはよく分からないが、コミュの開設日2005年1月24日ということから、2004年以前からこういうおまじないは存在していたものとは思われる。今月、皆既日食があったせいで、また盛り上がっているようなのである。
門外漢からすると、“月が翳る”と月からのエナジーというかそういうもんは削減されるような気がするのだが、関係ないらしい（笑）。
そのコミュに書いてあるインストラクション：
- 通帳またはお財布を用意する
- お財布からクレジットカード、領収書など「お金を使う事に関係する」ものを抜く。お札は入っていてもいなくてもかまいません。
- 満月の日に、外の気にお財布や通帳を晒しながら（このときに振ると良いです）「今月も臨時収入がたくさん入りました。お月様ありがとうございます！」と、過去完了形で宣言をする
- 曇り、雨、日中であっても、満月の「氣」は満ちていますので、安心してフリフリしてください。
- 満月の前後一日間も、「満にする氣」が大気中にありますので、前後にお振りいただくのもOKです。
- こだわる方は、満月の一日前から満月になるきっかりの時間までに振ってください。
手を３６回、擦ってから お財布、通帳をフリフリしましょう♪
その際にクレジットカードは絶対抜いてくださいね！
満月の氣は「満」にする氣。
だから、クレジットカードの利用も「満」たされるように働きかけるので散財することになってしまいます。
お財布の役目は「お金を入れる事」
それ以外の役目はできるだけ負わせずに、楽〜にしてあげると良いかと思います。
- 満月の日は、曇っていても雨が降っていても大丈夫。
「氣」は空気中に充満しています。
雲の上にはいつもお月様があることを忘れずに…♪
- 振り振りする場所にお月様の光が届かない、お月様が見えない！ってときでも大丈夫。
空気中に充満する満月の「氣」は、お月様本体が見えなくてもそこにあるのです。安心して振り振りしてくださいませ☆
- 冬などの寒い時期は、ちょっぴりだけ我慢しておうちの外で振ってください。
- 長時間振る必要はありません。
はぁ。そうですか....。
臨時収入ねぇ。お月様の「氣」なんぞという凄いエネルギーを、随分「安い」用途に使うもんですな。これは「資源の無駄づかい」なのか、それとも「ダウンサイジング」なのか、どっち？（笑）
■ 運勢が上がらないなら、いっそ手相を書いちまえ！
これは凄い！いくらなんでも、この発想はなかったわ。手の平に自分でペンで手相を書き足すことで、強制的に運勢を変えちまおう、というお話。
「手相を書く」だけで運命が変わる!―幸せ・お金・恋を呼ぶいちばん簡単な方法! (マキノ出版ムック)
- 作者: 川邉研次,西谷泰人
- 出版社/メーカー: マキノ出版
- 発売日: 2007/06/01
- メディア: 単行本
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幸運な人生を送るカギがこの１冊に凝縮しています。過去２回特集した『ゆほびか』の好評企画「手相を書く」がムックにまとまりました！あなたに必要なものは市販のペンだけ。本書を参考に手のひらに吉相の手相を書き込めば、あら不思議。運命がガラリと変わるのです。恋もお金も幸せも思い通りになる最も簡単な開運法がカラーでとってもわかりやすい！！給料やボーナスが激増した、宝くじが当選した、理想の結婚ができた、子宝に恵まれた、など体験談も満載。
ちょwwwwww小学生の教科書の落書きの発想wwwwww
んで、その効能というのが：
金 運 書いた直後に臨時収入300万円!
仕事運 大成功し月収1000万突破!
恋愛運 出会い続々!理想の恋人出現!
くじ運 宝くじ100万円当選!
健康運 苦もなくダイエットできた!
家庭運 夫婦仲がよくなった!
これはwwwwwwそこらの開運グッズと同じwwwwwww
ちょっと、愉快すぎるぞ。なんて味わい深いんだ。
んで、出版社を調べてみると....こ・こ・かあぁ....orz
「爽快」とか「安心」を出してるところかぁ。
- 「○○で△△がみるみる××！！」
- 「□□がグングン☆☆になる◇◇の驚きのパワー」
（記号部には任意の名詞：何でもOK）という記事が毎月満載されてる雑誌な。
さらにこの本にはこんなスペシャル・ゲストも...
作家・中谷彰宏氏と西谷泰人氏が「手相を書く」開運法の核心にせまる注目対談や、有名人の手相図鑑、西谷氏による手相の奥義講座、驚愕の読者体験記も必見です!
中谷彰宏....こんなところにまで生息してたのか....。自称トレンド・クリエイター。故ナンシー関が命名したところの「トレンド膿み男」。数百冊の就職・人生指南書で就活学生さんをカモにし続ける男....。
いやぁ、凄いな。コペルニクス的転回というか、ある意味ラディカルだよな。「手相見」というものを根源的に相対化・脱構築する試み（爆）？
■白夜書房のスピリチュアル・マガジンと「塗り絵」
Sundari(スンダリ) Vol.2 (白夜ムック Vol. 284)
- 作者: Sundari(スンダリ)編集部
- 出版社/メーカー: 白夜書房
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白夜からのスピリチュアル・マガジンというだけで、ここがどういう出版社か知ってる人にはそれ自体がギャグか悪趣味な冗談のようなものだが。
どういう出版社かというと、カテゴリーを見れば一目瞭然。マキノ出版の出版物との差を見てくれ。
http://www.byakuya-shobo.co.jp/index.php
パチンコ・パチスロ-> (256)
料理 (8)
スポーツ-> (59)
コンピューター-> (14)
音楽・芸能・映画-> (18)
競馬・競輪-> (36)
お笑い・演劇-> (25)
特撮・ヒーロー
社交ダンス-> (25)
熱帯魚・水草-> (13)
懸賞・パズル-> (33)
書籍-> (56)
その他->
白夜ムック-> (59)
中身も凄い、いろいろな意味で。
まず巻頭インタビュー、杉本彩「打算の人生を送らない覚悟を持つ」ってのがオモシロい。
まずキャッチコピー自体が、雑誌の趣旨と矛盾してるし。だってそもそも、色の付いた石いじくって、あわよくば、金銭運だの男運だのが上がるのを願ってる女の人生なんて「打算の人生」そのものじゃないんですか？
そこんところ、杉本姐さんは全く空気読む気ゼロで、ダイヤモンド社の経営者向け雑誌に載ってる社長の説教みたいな人生論まくしたてるわけですよ*2。ある意味、男前だよな。
そんで、一番凄いのが....
塗るうちに本来の自分に―― 付録：世界の名画塗り絵 ヘンリー・ダーガー「彼と少女たちの王国」
ちょwwwwwwwなんでダーガーwwwwwwwww「塗るうちに本来の自分に」って、ねーよwwwwwwww大人の塗り絵ブームもついにココまで来た！....っていいのかホントに。
しかしなぁ....こんなキャプションがついてるんだぜ？
「ダーガーの絵には、戦争・差別・命の尊さといった問題が盛り込まれているのである」
ねーよ、んなこたぁ。
ヘンリー・ダーガー - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/ヘンリー・ダーガー
どこの下請け・孫請けの編集プロダクション／ライターだか知らないが、よくもまぁ、いけしゃあしゃあと、こういうウソとデタラメが書けるもんだよな。
そこまでのデタラメがまかり通るなら、どうせなら、ダーガーの“きいちの塗り絵とお花畑”みたいなメルヘン風の絵を選択するだけじゃなくて、こういう絵の塗り絵も載せろよ。（一部グロ画像注意）
http://typomil.com/typofilos/wp-content/obrazky/henry-darger-2.jpg
http://www.cs.northwestern.edu/~hunicke/blog/images/darger/sulking.jpg
http://charliegower.typepad.com/photos/uncategorized/darger.jpg
http://americanart.si.edu/images/1986/1986.65.168B_1b.jpg
http://www.obieg.pl/event/img/darger03.jpg
http://home.comcast.net/~dbardallis/darger2.jpg
http://www.artcyclopedia.org/images/amazon/398042653X.jpg
そんで、みんな「本来の自分」に返ればいいと思う（笑）
