メビウス×浦沢直樹+夏目房之介@明治大学

明治大学国際日本学部(昨年発足したばかりらしい)主催のシンポジウム「メビウス∞描線がつなぐヨーロッパと日本」に行ってきたのでそのメモを転記。雑すぎて失礼。後ほど加筆予定。

明治大学国際日本学部Information
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たけくまメモ(竹村健太郎ブログ):京都でのイベントリポート
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夏目房之介の「で?」:日本で誕生日を迎えたのでそのパーティー
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しかし綺麗になったなこの学校。俺が通ってた昭和のころとは雲泥の差だ。

入り口ではチラシ・アンケート類とともに、なんとヨーロッパのマンガを紹介する雑誌『euromanga』第2号がお土産としてついてくるという大盤振る舞い。1000人規模のホールは満席(どうやら入りきれなかった人は外部のモニターで観てたらしい)、招待者席には大勢の著名な漫画家先生を初めとして業界のお歴々がズラリ。

ユーロマンガ

ユーロマンガ

司会は、江東区森下の文化センターでの少女漫画セミナーが非常に良かった藤本由香里女史、パネリストは浦沢直樹氏と夏目房之介氏。ステージ向かって左側にメビウス氏と通訳のお兄さん2人(一人が仏→和、もうひとりが和→仏)、OHPとビデオで背後のスクリーンに著作や資料を投影。

(以下敬称略)

メビウス略歴ヴィデオ

■藤本からのインタビュー

出世作『ブルーベリー中尉』をめぐってジャン・ジロー(リアルなバンドデシネを描くときは本名名義)にとって西部劇とは

  • 背景:第二次大戦後のアメリカ文化(“アメリカ的”生活文化、ハリウッド、アメコミetc)の流入
  • 舞台がアメリカとはいえ、開拓期の移民はむしろ「ヨーロッパ人」だったわけで、西部劇とはヨーロッパ人の物語でもある
  • (銃・馬車といった広義の)テクノロジーが大規模に使用された時代
  • インディアン(ネイティヴ・アメリカン):アパッチ族ジェロニモの抵抗→“近代対反近代”の闘争
  • 「テクノロジー」と「近代対反近代」という問題は、現実世界でもアル・カーイダがそうであるように、いまだにコンテンポラリーなものである

メビウスにとってアメリカとは

  • 幼時のメキシコ在住体験:19世紀を色濃く残す風景と砂漠が“メビウス”の創作の原点
  • スタン・リー(アメコミ『シルバー・サーファー』を共作)の思い出
  • アメリカには「足を踏み入れるがあくまでも軽くに留めたい」

『メタル・ユーラン』(『ヘヴィー・メタル』)創刊について

  • 時代背景:大衆文化の進展
  • 創刊の意図:アダルト層(15〜25歳)向けのバンド・デシネ
  • アーティスティック(アカデミック)な表現とバンド・デシネ的な表現の両立を図りたかった

藤本からの描線の変化について:ジャン・ジローからメビウス

(…ここは、非常に重要な論点だったはずだが、質問と回答がいまいちかみ合っていなかった。正直、もうすこし踏み込んだ論議が欲しかったところ)

メビウスの日本の受容と影響

浦沢のメビウス体験

  • コレクション自慢:各単行本から、メビウスがジャケを描いたジミヘンLPまで

http://www.amazon.com/Voodoo-Soup-Jimi-Hendrix/dp/B000002OW1

  • 大友克洋『Fireball』がきっかけ
  • スター・ログ日本語版でのメビウス特集に魅了された
  • 自分の理想の絵がそこにあった:「これは“俺”じゃないか(笑)」
  • 彼が生きている限りこの描き方では超えられないので、他の道(描き方)を歩むことに

夏目:日本マンガのメビウス遺伝子

    • 「日本のメビウス」(笑)(SF宝石の目次の惹句)
  • 大友という存在を「分水嶺」として、メビウスの絵は日本のマンガにに広範な影響を齎した
  • 手塚への影響:手塚プロのアシスタント向け指示書に“メビウスの雲”
  • メビウスの真の影響は、線だけではない。「線を超えていく自由さ・開放感」「“絵の思想”」

インタビュー:メビウスが凄いと思った日本の漫画家

  • 手塚との出会いと交流:初めは(線の単純さから)子供向けのマンガと誤解した
  • 大友・谷口ジローetcの印象と交流

線を描くことの快楽:浦沢にとって「楽しい線」とは何か

  • 「ムダな線」というものは存在しない
  • マンガ家には「全ての線をつかさどりたい、コントロールしたい」という欲求がある
  • デッサン人形的な下書き(円を描いて頭部にし、そこに十字の線を入れて顔の中心線+眼の位置のアタリとする)はダメ「描いてて楽しくない」
  • 「頭の中身をそのままスっと出したい」
  • そしてその絵はすべて必要な線だけにしたい
  • だが日本のマンガ制作のペースではそれを実行したら生産量は10分の1に低下してしまうだろう
  • マンガ制作上のジレンマ:アシに自分の意図を根本的に伝えきれない

夏目のメビウス

  • モーツアルトの音楽のように迷いがない線
  • マンガの絵の2種類:アートとしての絵と記号としての絵
  • メビウスの絵はその理想的なミクスチャーである

夏目からメビウスへの質問:メビウスにとって「コマ割り」とは?

メビウス、やおらスケッチブックを取り出し書き始める。
下書き・アタリなし、上端(頭部)から下にむかって

  • 1コマ目:口論する2人の人物
  • 2コマ目:抱擁して空中を浮遊しながらダンスする2人

夏目:小池桂一がコマ割りに関して語った「僕のコマ割りは音楽」という言葉を引いて「コマ割りはハーモニーや和音たりうる」
浦沢:「今度から僕のところでは下書き禁止にしようかな(笑)漫画家はじかに描け!と(笑)」

メビウス パフォーマンス:ライブ・ドローイング“Viva Manga!”

浦沢&夏目(パフォーマンスを見ながら雑談):

  • 仕事から離れて好き勝手に絵を描くことがある:けっこう「いい線」が掛ける
  • 現実には存在しない「輪郭線」を描く快楽

■ゲスト挨拶:

(終了)


PS
続きはこちら:
http://d.hatena.ne.jp/Bushdog/20090515/p1