米国の泡沫大統領候補が面白すぎる件。


フランスでそのような茶番が上演されている一方で、もう一つの、世界最大の茶番劇とでもいうべき米国の大統領選では、ちょっと愉快な事態が起きているようだ。


暗いニュースリンク」から、珍しく(?)暗くない話題。米国の泡沫大統領候補が破天荒で面白すぎる件。


異色のド根性大統領候補:マイク・グラベル - 暗いニュースリンク
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2007/05/post_9dcc.html/

2007年4月26日、サウスカロライナ州立大で最初の民主党大統領立候補者討論会が開催された。舞台に現れた8人の民主党大統領候補者の中に、見知らぬ白髪の老人の姿があった。

「あの爺さん、誰?」と皆が首を傾げたのも無理はない。支持者達の関心の的は、ヒラリー・クリントン、バラクオバマら“エリート先頭集団”が何を言うかということだった。

ところが討論が開始されると、ヒラリーやオバマ共和党議員よりもはるかに退屈な保守派であることが露呈してしまったのである。一方でこの日最も会場を沸かせたのは、知名度ゼロのために討論会に招かれるかどうかも定かでなかったマイク・グラベルだったのだ。


面白すぎるので動画も貼っとこう。
http://www.youtube.com/watch?v=1gMlHv2lDqA


いや、この記事読んで思い出したんだけど、この人、「ペンタゴン・ペーパーズ事件」のマイク・グラベル議員なのな!すげぇぜ!


ペンタゴン・ペーパーズ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/ペンタゴン・ペーパーズ


かいつまんで説明すると、「ベトナム戦争は勝てる見込み無いっす」という結論になってる国際安全保障局の報告書の公開をめぐる一大スキャンダルなんだけどさ。政府が躍起になって握りつぶそうとしてたところを、この人は報告書を議会で朗読しちゃって議事録に載せることで国民が読めるようにしたという、まるで2ちゃんねらーの嫌がらせのようなフザケた手段で対抗したんだよ。んで、ノーム・チョムスキーと組んで書籍として出版もしちゃったという。

上院議会での機密文書読み上げが禁止されると、グラベルは自分が委員を務める上院小委員会(国防と全く関係のない委員会)の聴聞会を、たった一人でこっそり真夜中に議会地下室で開催し、勝手にペンタゴン・ペーパーを読み始め、参照としてその機密文書4,100ページを小委員会議事録に収録するというユニークなやり方で、司法省の攻撃を逃れ、公開議事録を通じてペンタゴン・ペーパーに一般国民がアクセスできるようにした。本人曰く「この機密文書をただちに公開すれば、ベトナム戦争政策はひっくり返るはずだ」という信念に基づいた危険な挑戦であった。

「たった一人でこっそり真夜中に議会地下室で開催し、勝手にペンタゴン・ペーパーを読み始め」ってアンタwwwwww


それにしてもこの討論会でのグラベル候補、面白すぎる。まるでTVの「サタデー・ナイト・ライヴ」のスタンドアップコメディみたいだ。

どうやって撤退するつもりかね?決議案じゃなくて、法律を制定すべきだよ。撤退しなきゃ重罪になるという法律を作るんだ。その条文は私が用意する。

主流派の候補者諸君は、イランに関してはあらゆる可能性を検討するなんて言っている。そりゃつまり、核攻撃もありうるということじゃないか核兵器だ。言っとくが、私が大統領になったら、核兵器による先制攻撃など絶対にやらないぞ。わしが思うに、そりゃ不道徳だよ。もっとも、過去50年間のアメリカ外交はずっと不道徳だったがね。

あんた、イラク国民に国の運営について講義するつもりか?言っとくぞ!我が国はさっさと撤退すべきなんだ。何もせず撤退するんだ。彼らの国なんだぞ。彼らは我々に出て行けと言ってるんだ。それなのに我が国は駐留継続を主張している。なぜ出て行かない?どんな害があるというんだね?

ベトナム戦争だって全部無駄死にだったじゃないか。今この瞬間にも、どんどん無駄に死んでいくんだぞ。1人の兵士が無駄に死ぬ以上に酷いことは何だと思うかね?もっとたくさんの兵士が無駄に死ぬことさ!それこそもっと悲惨だ。

重大な敵などいない。我が国に必要なのは、世界の国々に対し公平に対応することだ。それをやってない。我が国は世界の全ての国を合わせたよりも多くの金を防衛に費やしているんだ。一体何を恐れる必要がある?

テロ戦争における成功はドラッグ戦争と同じ程度だ。効果ないんだよ。我が国に必要なのは、外交政策全体を見直すことだ。共和党側は民主党が祖国を防衛するつもりがないと責め立てるが、軍事侵攻はテロリストを増やしただけじゃないか。我々がイラクに侵攻したおかげで、オサマ・ビン・ラディンは今頃毛布の中で転げまわって喜んでるに違いないぞ。

かっちょえー!!カッコ良すぎる。この爺さん、噛み付く牙が全然磨り減ってないのな。アラスカの狼、老いてなお意気軒昂って感じ。


初の黒人候補として注目を浴びるバラク・オバマも形無し。

グラベル
「とんでもない。イランなら、我が国はもう26年間も経済制裁してるじゃないか。合衆国大統領は彼らを“悪魔”と呼んで、連中をひどく脅してるんだ。それでどうなる?そんなことに効果などない。意味ないんだよ。彼らを認めるべきだ。わかるか?核不拡散条約の最大の違反国は誰だ?アメリカ合衆国だよ!我が国は軍備縮小を始めると約束しておいて、何にもやっちゃいないんだ。我が国は核兵器をさらに増やしているじゃないか。あんたら、どこを核攻撃するつもりだ?教えてくれ、バラク!バラク!あんたはどこを核攻撃したいんだね?
オバマ
「(苦笑して)どこも核攻撃する計画はないよ、今のところはね。マイク。約束しよう。」

(会場、笑い)

グラベル
「そうか、良かった。それじゃもうしばらくは安全だな。

オバマ候補!オバマ候補!気付いてないと思いますが、それ問題発言ですから!「今のところ」って!「やるときゃやる」という意味ですよね!?

実際に、マイク・グラベルと“先頭集団”には、資金面でどれくらいの差があるのか?以下に2007年3月31日時点のデータで比較すると:


ヒラリー候補:
集めた献金額は2,604万1,109ドル(約31億2,068万449円)
手持ちの現金は3,097万4,780ドル(約37億1,327万7,311円)
バラク・オバマ候補:
集めた献金額は2,566万5,688ドル(約30億7,692万6,558円)
手持ちの現金は1,919万2,521ドル(約23億89万4,714円)
エドワーズ候補:
集めた献金額は1,402万1,504ドル(約16億8,068万8,521円)
手持ちの現金は1,073万1,881ドル(約12億8,646万2,153円)。

一方でマイク・グラベル候補はというと、献金額はわずか1万1,118ドル(約133万2,911円)、手持ちの資金は498ドル(約5万9,703円)しかない。これじゃあ、選挙用にノートパソコンも買えない。


はいはい見える化見える化

ちょwwwwwwwほぼ無一文wwwwwwww

だが、マイク・グラベルのド根性人生は、アメリカが世界に対して誇るべき数少ない側面を反映しているように感じる。爆撃外交を重ねる脅迫盗聴大統領ばかり目立つアメリカよりも、マイク・グラベルが評価されるようなアメリカのほうが、本当は誰だって好きなはずだ。

世論調査専門家ゾグビーは言う:「国民はマイク・グラベルについて話題にしています。彼にバスの切符を買う金が続く限り、国民はもう数ヶ月は彼の言葉を聞くでしょうね。」


そう、アメリカにはこういう人物が生まれてくる余地があるはずなのだ。


参考:過去日記より
http://d.hatena.ne.jp/Bushdog/20070308/p1


もっと献金してやれよ!米国国民!