大竹伸朗「全景」@都現代美術
行ってきた。圧倒された。もうそれ以外何が言えるだろう。
大竹伸朗「全景」1955-2006
http://www.mot-art-museum.jp/kikaku/
大竹伸朗「全景」公式サイト
http://www.shinroohtake.jp/
総制作点数3万点を超えるという、圧倒的な制作量と活動の幅広さを受け入れられる場が存在しなかったために、その創造の全貌はいまだ謎に包まれています。本展覧会は、30年にわたってほとんど人目にさらされることなく制作され続けてきた「スクラップ・ブック」をはじめて全点一挙公開するほか、少年時代のスケッチから、本展のために制作されたパワフルな新作まで、選りすぐった2000点あまりの作品群で大竹伸朗の全仕事を紹介する、またとない機会です。
美術手帖
http://www.bijutsu.co.jp/bt/
特集 全身全景 大竹伸朗
「日本の存命作家の個展としては最大規模」といわれる、大竹伸朗の個展「全景 1955-2006」展が始まった。展示は小学生時代の落書きから廃品利用の最新作まで2000点。4トントラック25台で搬入したという100トン級の展覧会だ。
今日だけどNHK「新日曜美術館」で放映されたらしい。見逃したけど。あ、でも8時から再放送か。
http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2006-11-26&ch=31&eid=18929
美術館の屋根に「宇和島駅」(笑)。JR宇和島駅が改築されたときに譲り受けてきたホンモノだそうだ。もうコレだけでツカミはオッケー。
つまりこれは、マグリットの「これはパイプではない」へのオマージュで「これは宇和島駅ではない」というマニフェストなのである(いやマジだって)。
アトリウムにはガラクタやらエレキギターやらをつなぎ合わせた巨大な柱状のオブジェ「零景」。普段は商店街のBGMに流れてるようなヌルいハワイアンミュージックが流れていて、時折エレキが時報のように「ズギャーーーン」というノイズを撒き散らす。
展示の概要は公式サイトのフロアマップを参照:
http://www.shinroohtake.jp/floor_map.html
だいたいこんな感じ:
- スクラップブック、計64冊、1万ページ超、総重量200kg超(正確な数値は忘れた):重さで表示するなよ(笑)
- 少年時代の絵・マンガの模写・コラージュ(当時から!)・作文etc の間にこっそり現在の作品を潜り込ませた展示から、美大時代の試行錯誤・暗中模索
- ロンドン渡航、日常手にするものからゴミまでひたすら切って貼ってというスクラップ/コラージュ開始
- この時期、ラッセル・ミルズとの邂逅:作品にモロに影響が出てるのが微笑ましい*1。出会いの様子は確か「ネガな夜」所収のエッセイに詳しい。
- 個展デビュー。当時の影響はミルズの他にはゲイリー・パンターとか、あとは当時のアメリカのアングラなコミックスとかかな。
- 一風堂のアルバム「Radio Fantasy」のジャケがこの人だと初めて知った。
- 1985年佐賀町エキジビット・スペースでの個展から、あの廃物が何層にも重なって塗り込められた大規模なミクスト・メディア作品が現れる。大作「ゴミ男」「東京ー京都 スクラップイメージ」が凄い。
そういえば、今回の展示では作品のタイトルを記したプレートに「キャンバスに油彩」とか「紙にグワッシュ」とか「イラストボードにアクリル絵具」とか、そういうマテリアルの表記がないのね。意味無いから。
- 世界各国を旅行・滞在して描いた風景画がフロアのあちこちに散在。スケッチ、クロッキー、ペン画、水彩画、油彩画など。コラージュやゴミ・アートとは180度方向性が違うが、凄く普通に(?)上手い。明らかにささささっと素早く筆を走らせただけの筆致で下書きや書き直しをした形跡などないのに完璧なデッサン。
- 夢日記と称したペン画や水彩画。
- 米国に招聘されて南部の街に滞在して制作した油彩画など。メンフィスやニューオリンズというタイトルを冠していながら、ジャズとかブルースを描いた絵(黒人が汗を飛び散らせてラッパ吹いてる類の)にならず、渋い感じの純粋抽象画になってるのが面白い。
- 「網膜」シリーズ。俺にとってはこの展覧会の白眉。一番気に入った。廃棄されて腐食したり変質したりしたポラロイド・フィルムを縦2メートル程の超大判の印画紙に拡大してその上に加工を施した作品群や、木製パネルに塗料やらセメントやら廃材を塗りこめたやはり大判の作品。衝撃的に良かった。すっかり見入ってしまったよ。
- ダサくてケバい日本の田舎の風景を、ケバい原色や蛍光色の平坦なべたッとした塗りで描いたキッチュな作品群。みうらじゅんのセンスに通じるものが。
- 吹き抜けの空間には高さ数メートルの自由の女神像の模造品を置いて“レディ・メイド”とした「女神の自由」
- 札幌の劇場用緞帳として委嘱され、織り糸をCMYKの4色にして、オフセット印刷を巨大な織物で再現したという、印刷出版・DTP業界人からしてみると驚異の産物「北の空に浮かぶカタチ」
- ボアダムズやスカム/ジャンク系音楽のファンには良く知られる、ガラクタ大馬鹿リモコン演奏マシン(というか一種のカラクリ舞台)「ダブ平&ニューシャネル」。演奏は見られなかったけど、ライヴ・ヴィデオ(フィーチャリング、内橋和久!)が流れていた。
あああ、もう書ききれない〜〜。(書きかけ)