レビュー:4/22 Loop-Line 3rd Anniversary

連チャンでLoop-Line。Analogic、坪口氏、カール・ストーンという素敵な組合せ。前日は日本人より出演者のお友達関係の外人さんが多いような状況だったのだが、この日は歩き回るのがキビシイほどの大入り。こういう日はビール飲む際にトイレを気にしながらということに(笑)


2006 Loop-Line 3rd Anniversary
http://www.loop-line.jp/2006/04/more.html#a000023

  1. Analogic
  2. 坪口昌恭
  3. カール・ストーン&ルドビック・グザスデラ(Ludovic Xasdera's)

参考:前回のAlanogicと坪口氏@Loop-Lineの模様。
http://d.hatena.ne.jp/Bushdog/20060128#p1


Analogicの二人はいつものテレビとエフェクターとミキサー、坂本氏が新たにサンプラーを使用(あれはKORGELECTRIBEhttp://www.korg.co.jp/Product/Dance/ )前後2セット。


前半は、パルス状の電子音が飛び交うテクノっぽい音。今までのAnalogicには無かったサウンド。坂本氏がサンプラーのボタンをキーボードを弾くようにリズミックに叩いて音を出していたようだ。それこそフロアでかけて踊れるような(踊れる...かなwww)。それに伴い、スクリーンの画像もいつもと違う印象。後半は、いつものハーシュなノイズでかっこいい。VJつきのメルツバウやインキャパシタンツみたいな。


坪口氏の機材はこんな感じだったか。

  • PowerBook
  • Doepferのモジュラー・シンセ
  • MIDI音源ユニット(ピアノやエレピの音を使用)
  • リボン・コントローラ
  • 88鍵のマスターキーボード

http://www5f.biglobe.ne.jp/~fukusan/products/doepfer/doepfer-index.html


基本はピアノやエレピの音で、はらはらとした取り留めの無いラインとものうげでメランコリックな雰囲気の不協和音を奏でながら、合間に電子音やダビーなエコー音やループを絡ませたり、リボン・コントローラでヒュイーンというポルタメントをかけてみたり、という演奏。後半は、アジア系の言語(何語だろう?)の会話のループが延々と繋がるミュージック・コンクレート風の展開に。どの音もセンスの良いもので聞いていて心地よい。

大友氏の日記(http://d.hatena.ne.jp/otomojamjam/20060426)で

ところで20年前の1986年ってみんな何してた?

なんて書かれてたので気がついたのだが、今年2006年は Macintosh に日本語乗って20周年なんだよね。Macintosh Plus の発売が1986年*1なので。あんま話題になってないけどさ(笑)。当時Macは高かった。Mac Plusで40万円だったっけ。Carl StoneのNew Albionからのアルバム "Mom's (for Macintosh Computer)" (http://www.newalbion.com/artists/stonec/*2のころの写真を見ると、Mac PlusとSEと一緒に写ってるが、SE/30なんて当時100万以上したんだよな。


閑話休題


ルドビック・グザスデラ氏は、初めて知ったアーティストだ。Webページを見ると、ヴィデオだけじゃなく、絵(タブロー)や写真(デジタル加工した)など、色々やる人みたいだ。


今回はVJとして参加。目にどぎつかったり激しく明滅するような表現ではなく、水彩画やパステル画−例えばモネの絵−がゆっくりとアニメーションで動くような。または、室内からステンドグラス越しに外の風景を眺めてると、外で人や動物や自動車が動くのが色ガラスで変形されて見える、みたいな印象の動画(わ、分かります...?(汗))。グザスデラ氏のWebサイトにあるサンプル動画よりも抽象度は増している。これがカール・ストーン氏の演奏と凄く良くマッチしていた。


カール・ストーン氏の演奏は、色んな電子音やサンプリングした音楽の断片が重なり合ったり変調したりして、ゆったりとたゆたうように流れてゆくコラージュ・ミュージック。基本的に芸風昔から変わってないよね。ヴァン・ダイク・パークスとかホルガー・シューカイとかの音楽を、リアルタイムで編集して聴かせるような。音楽の特徴が“エキゾティズム”という点でもその2人と共通点あるしな。


聞こえてきた音楽の断片で面白かったのは:

コラージュされた音の断片の持つコード感や、ループで繰り返されるメロディラインがどこかメランコリックなものが多く(坪口さんの演奏と、いい具合に連動していたように感じたのは偶然だろうか?)、マターリとした美しい時間を過ごせて満足だった。良かったっす。


最後に、カール・ストーン氏とルドビック・グザスデラ氏のサイトとブログをリンクしておこう。


Carl Stone Home Page Gateway
http://www.sukothai.com/

Ludovic Xasdera's Page
http://www.xasdera.com/xasdera/
http://xasdera.exblog.jp/

*1:キヤノン販売が独自に改造して漢字ROMを載せたDynaMacというモデルが1985年に発売されてる。ただ俺現物見たことがない。

*2:これは素晴らしいアルバムである。特に後半の、電子音の渦が徐々にモーフィングして、矢野顕子(!)の歌うシューベルトの歌曲に収斂していく曲なんざ、ほんと衝撃だった。