10/14 Frank Gratkowski(alt sax,cl)翠川敬基(cello)
「副島輝人 プロデュースの夜」第19回に行ってきた。ところでGratkowski氏の読みって「グラコウスキ」でいいのかな。
- Frank Gratkowski(alt sax,cl, bass cl)
- 翠川敬基(cello)
Gratkowski氏の演奏はモダン・ジャズのイディオムを使うわけでもフリー・ジャズっぽいブロウでも、また最近のヨーロッパのフリー・インプロのトレンドにある息音系特殊奏法でもなく、飽くまで“通常”のサックス/クラリネットの演奏中心という印象を受けた。サックスの基本的な音色はレスター・ヤング風の柔らかなトーンで、それに時折り硬質でフリーキーな音や特殊奏法が挟まれる、という感じ。なんかどことなく現代音楽のオーボエ奏者、ハインツ・ホリガーを彷彿させた。
バスクラ+チェロ
- 不穏でダークな雰囲気
- 双方ともハーモニクス+実音の重音奏法
- 当意即妙なインタープレイのやりとり
- チェロがハーモニクスを弾く一方でクラは息音+キー音
- 微弱音の演奏:チェロが弦を撫でるように+クラが囁くように
- 沈黙に限りなく近づくような静けさ
休憩挟んで後半
クラ+チェロ
アルト+チェロ
- アルトで不穏な雰囲気のトレモロ
- チェロも不気味な、ゴスっぽいドローンサウンド
- チェロがピチカートでベースのラン奏法を始めて、いわゆるジャズっぽいインタープレイへ
- 双方とも徐々にロングトーンに移行
- リゲティのトーンクラスター風の不協和音のロングトーン
- 「プキプキ」いう音のサックスからスタート
- この日一番フリーキーなデュオ
- 声出しながらアルト吹く
- 翠川氏も弾きながら声出して応じる
- アルトのカップにコップでミュートしながら吹く
- チェロで馬のいななきの真似
- 徐々に緊張感ほどけ、リラックスしたというかややおふざけ風に(笑)
アンコール:バスクラでソロ
- 低音を小音量で始め、徐々に大音量に。クライマックスは大音響になって終演。
多彩な引き出しを持っている人だという印象を受けたが、決して借り物になっておらず自分の表現に消化してあるのはさすが(エヴァン風のトリルはちょっとご愛嬌だったが)。ぜんぜん名前を知らない人だったのだが、こういう人が普通にやっているという所はヨーロッパの即興演奏家の層の厚さと豊かさを示すものだろう。
それにしても、こういう人を見つけてくる副島先生の慧眼というか目利き・耳利きの確かさはさすがだ。
Frank Gratkowski Homepage
http://www.gratkowski.com/
翠川敬基のいぬふぐり通信
http://homepage3.nifty.com/inufuguri-kaicho/
なってるハウス
http://members.jcom.home.ne.jp/knuttelhouse/
副島輝人 プロデュースの夜
http://members.jcom.home.ne.jp/knuttelhouse/soejima.html