大銀座祭2005:究極の東西寄席(Dブロック)
前日に続いてこの日はDブロックに。2階席中央部。前の日より見やすかった。
笑福亭鶴瓶の会
- 青木先生
- 宮戸川(お花・半七なれそめ)
途中で引っ込まずに連チャンで2話。「青木先生」は鶴瓶師が「私(ワタクシ)落語」と標榜する、実体験に基づく創作落語。アホ高校のワルガキ時代、青木というお爺さん先生の怒り方が面白いといって、あの手この手でイタズラを仕掛けて怒らせる噺。これは面白かった。ゲラゲラ笑えて最後しんみりさせて。なんか、崔洋一に映画にしてもらいたいと思った。
「宮戸川」は、帰宅が遅くなって親から締め出しを食っちゃった近所の男の子女の子が一つ屋根の下で泊まるとになっちゃって…という、江戸時代のラブコメ(笑)。
鶴瓶師がマクラで話していた「噺をモノにし続けるために」みたいな話が面白かったな。「噺家はカウボーイみたいなもんで、ほんで噺は牛みたいなもんでんな」、つまりアタマの中で「噺」を放牧しておくイメージなんだそうな。
ほっとくと段々自分から離れていっちゃうから、ヤバそうになったら縄を引いて引っ張り寄せるんだって。それが稽古なんだって。「そろそろ『らくだ』離れすぎやな、おぉい『らくだ』、こっちゃ来い」つって。鶴瓶師、実は凄く稽古しているみたいだ。
桂歌丸の会
- 桂歌蔵:饅頭怖い
- 桂歌丸:ねずみ
「ねずみ」は一種のヒーローもの。浪曲(水戸黄門とか)によくあるような、諸国漫遊のヒーローが旅先で強きをくじき弱きを助けるというお話。彫刻の名匠・左甚五郎が、旅先で大店を乗っ取られ潰れかけている旅篭の主を助けて見事な鼠の彫り物を作ると、その鼠が動き出して評判になり…という噺。
落ち着いた丁寧な語り口がとても良い。前日の楽太郎・円楽のようにトリでなく真ん中に置いたのも、お客さんが疲れる前だったので効を奏した感じ。
桂文珍の会
「胴斬り」は辻斬りに胴体を二つにされちゃった男が「ひでぇ目にあった」とか言って上半身と下半身に分かれたまま家に帰り、翌日別々の仕事に行くというアヴァンギャルドな噺。古典落語って時折、こういうとんでもない前衛小説みたいなのがあるよな。「頭山*1」とかさ。
文珍師はワイドショーの司会をやってた経験を活かして時事ネタ駄洒落を炸裂。それをマクラに、窓際サラリーマンがパソコンに悪戦苦闘したり健康ランドで妙な老人と出会う創作落語「老楽風呂」。パソコンのマウスがうまく操れず「…矢印どこ行ったんや…」とか呟くという所作は、“見台・小拍子・膝隠し”のある上方落語ならではだよな。
「あ、ちょっと時間余ったか…」とか言って「七度狐」を途中まで。お伊勢参りの途中で食い逃げをした旅人が食い終わった鉢を投げ捨てたら「一度化かしたら七度化かす」といわれるタチの悪い狐に当たってしまい、怒った狐に散々化かされるという噺。だますネタを2つか3つやって「そろそろお時間になりました」と終演。
この日はオーバーアクションで笑わせるのではなく正攻法で笑わせる噺がメイン。堪能、満喫しました。帰りに「笑芸人」別冊「落語ファン倶楽部」を買って帰る。
最後に。
「はてな」は、グッズとして「はてなTシャツ」というのを出しているが、あまりにもありきたりだと思う。お茶碗を出すべきだと思うぞ。「はてなの茶碗」つって。