宇宙戦争


夏休みに入って混んじゃう前に見ちまえ、ということで早々に観て参りました。
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いや、良かったっす、予想以上に。最近のSF映画では出色の出来ではないかと。


脚本と演出がシリアスで緊迫感あふれるもので素晴らしい。お遊びゼロ。同じ侵略ものでも「インディペンデンス・デイ」の能天気さはここには皆無。絶体絶命なのに登場人物が小粋なアメリカンジョークをかます、みたいなハリウッド映画にありがちな馬鹿シーンは一切無し。ちゃんと、言い知れぬ恐怖と絶望感みたいのが伝わってくる。


んで、ジョージ・パル監督の前回の映画(名作!)が冷戦と核の恐怖を踏まえていたように、これは明らかに“9.11”以降のアメリカ人の不安と恐怖を具現化した映画、なのね(監督や出演者自身もそれは明確に意識していた模様)。「シンドラーのリスト」を撮った監督が、9.11を踏まえて撮った映画。スプラッタやグロなシーンはないものの、かなり過酷・残酷な描写が続く。この脚本でよくプロデューサーのOK通ったな。本国でのレーティングはどれくらいだったんだろう*1


あと、ハリウッド映画らしからぬフィルムの色調がいいかんじ。ちょっと粒子粗めでくすんだ感じで冷色系の。そんな色調で描かれる寒々とした晩秋・初冬のニューイングランドの風景が、みるまに荒涼とした焦土に化していく様が、また一段と絶望感を煽るのだ。


リメイク版「タイムマシン」が、もうどうしようもないクズ馬鹿映画だった(確かウェルズの孫とかいう奴が撮ったんだよね?)から、失地回復してよかった、ウェルズ先生(笑)。


つーか、ネタバレさせずに映画の感想書くのってむずかしーねー。たったこれだけの文章、何度も書き直しちまったよ(爆)。

*1:MPAA RATING:(PG-13), for frightening sequences of sci-fi violence and disturbing images だそうで。