電子音楽 in The (Lost) World
- 作者: 田中雄二
- 出版社/メーカー: アスペクト
- 発売日: 2005/03/01
- メディア: 単行本
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いわずと知れた名著「電子音楽 in Japan」の田中氏による、今度はディスクレビュー主体の本が出た。
そう、我々の世代は、実はレコード店の「SL、効果音、シンセサイザー」という、いくぶんぞんざいなカテゴリーの仕切板の中から、多くの傑作レコードと出会ってきたのだ。冨田勲しかり、YMOしかりである。著者と年齢の近い世代の読者であれば、あのレコード店の片隅にあった、誰も見向きもしなかった仕切板を毎回楽しみにのぞきに通っていた、あの宝探しのようなワクワク感を、本書に感じていただければ幸いである。(「まえがき」)
「レコード店の片隅にあった誰も見向きもしなかった仕切板を毎回楽しみにのぞきに通っていた」それは私です。
目次はこんな感じ:
- アーリー・エレクトロニクス
- ミュージック・コンレート
- 海外の電子音楽
- コンピュータ音楽
- 海外のサウンドトラック
- エキシビジョン
- 日本のサウンドトラック
- アドヴァタイジング
- 日本の電子音楽
- 海外のシンセサイザー音楽
- デモンストレーション
- スポークン・ワード
- 日本のシンセサイザー音楽
- 日本のテクノポップ
- ジ・アート・オブ・サンプリング
見る人が見れば大体内容の察しはつくと思うが、6は要は博覧会('70年の大阪万博〜'90年の大阪花博)用の音楽、8はCMや所謂“サウンドロゴ”を集めたもの、11はMoogやArpのデモ用レコード、12はオーディオ・ドラマや朗読もの。
個人的には、13における、冨田や喜多郎以外の、70〜80年代初頭の日本の企画ものLPが面白かった。ロック/フュージョン系およびYMO人脈のミュージシャンの“恥ずかしいお宝音源”みたいなの。「驚異のモーグサウンド」「衝撃のUFO」「スペースファンタジー」とか(笑)タイトルとジャケのダサさを見るだけで楽しい。昔レコード屋でジャケットだけ見て買わなかったのを一杯見つけて懐かしかった。
ここらへん(シンセの企画もの→YMO/日本のテクノへの展開)を包括的に網羅した書籍は今までなかったしこれからも多分二度と出ないだろう(笑)と思われるので、その意味では資料的価値はあるかも。
あああああ、また物欲が....。いかん、こんな本持って渋谷や新宿なんかに行ってはいかん。こういう本こそ「買ってはいけない」に載せろ、という麻薬のような危険な本。
参考:
この2冊を読んでみんなハマってしまえ。そして散財してビンボーになってしまえ(呪)