インプロでレスポールサンバーストは、何か不思議だ。

E#氏は、前回の来日で持って来たヘッドレスの多弦楽器(スタインバーガーみたいな形だが8弦でギターとベース弦が張ってある)ではなく、ギブソンレスポールを使用。考えてみたらインプロ系のギタリストでレスポールを使っている人は少ない(故ソニー・シャーロックくらい?)なので不思議な感じ。右手小指にスライドバー、左手にはE-Bowを持ってスタート。そのまま普通にフィンガリングしたりピッキングしたりもしている。やっぱ外人、手と指が長い。内橋氏はSGをちょっと弾いては忙しく卓上のエフェクタを叩いてループを作って行く。

暫くアモルフな音の応酬が続いたが、”バンド”として動きが出てきたのは、中盤、芳垣氏がゴーゴーっぽいリズムを叩きだしてファンクっぽいノリになってからだと思った。

休憩を挟んで後半はE#氏のソロから。 EMANEM からの新譜「The Velosity of Hue」からの曲とのこと。 Godin のスティール弦エレアコギターを改造して、弦がブリッジの真後ろから(フォークギターのように)ではなくボディ末端から(ジャズギターのように)張られるようにして、ブリッジより後ろを弾ける(ハンス・ライヒェル言うところの”ピック・ビハインド・ブリッジ”)になっている。演奏はなんかアメリカンのフォークやブルースのE#流再解釈みたいな、今までにE#氏の音楽にはなかったタイプのもの。むしろユージン・チャドボーンのやってることに近いような。アルバムがどんな感じになっているのか興味がある。少なくともEMANEMからのギターソロといってもロジャー・スミスジョン・ラッセルみたいのとは全然違うと思われ。今度六本木Super Deluxでこのアルバムからの曲をやるらしいからまた行ってみるか。

今回は前の二人がエフェクタかけて好きに弾きまくる一方で、後衛の二人が場面転換のきっかけを作って引っ張っていく、という展開が多かった気がする。ナスノ氏がラン奏法を始めるとE#氏がすかさずジャズイディオムのブロックコードを弾いて応じる場面も。特に今回収穫だったのはナスノ氏のメロディセンスの良さだ。低音域でボトムを支えると言うよりも、第三のギターというかテナーギターという感じでハイフレット中心にミニマルなリフを繰り返していくが、これがなかなか良い。地味だが滋味。

久々に聴いたアルタード・ステイツだが、基本的にヴァーサタイルなジャズ・ロックというかジャム・バンドという認識を新たにした。ホッピー神山とやっているプログレっぽいというバンドも聴いてみようかなぁ。