ミヒャエル・ゾーヴァ展

日本では映画『アメリ』の美術で知られる、ドイツの絵本画家ミヒャエル・ゾーヴァ展に出かけた。無料でチケットが手に入ったので。

ミヒャエル・ゾーヴァ展 描かれた不思議な世界 - 松屋銀座
http://www.matsuya.com/ginza/topics/090511e_michael/index.html
魚拓
http://s03.megalodon.jp/2009-0513-0428-21/www.matsuya.com/ginza/topics/090511e_michael/index.html

(引用)
ミヒャエル・ゾーヴァ氏(1945年 ドイツ生まれ)は、1993年に『ちいさなちいさな王様』(アクセル・ハッケ作)で挿絵を発表して以来、世界的な人気を不動のものとし、さらに、若い女性の間で爆発的な人気を集めたフランス映画『アメリ』で作品が使われていることでも、広く知られています。他にも、オペラ『魔笛』の舞台芸術クレイアニメーションウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」におけるコンセプトアートを手がけるなどジャンルを越えて活躍しています。

絵本の世界での人気はもとより、卓越した技法と表現力によって、不可思議な風景に、愛らしさとユーモアを溶け込ませて描く作家として、その高い芸術性がヨーロッパでも評価されています。3年前に松屋で開催された展覧会でも、その作品の素晴らしさにあらためて多くの賞賛が寄せられ、様々なジャンルのアーティストたちからも支持を集めています。

本展では、人気の絵本原画『ちいさなちいさな王様』『エスターハージー王子の冒険』や映画『アメリ』のために描いた作品などの代表作から、最新作まで日本初公開の作品を含む約130点を展示し、ミヒャエル・ゾーヴァ氏の不思議な世界をお楽しみいただきます。

レトロスペクティヴ的にキャリアを時系列に追った構成:

  • 出発点となった欧米の新聞や雑誌によくある「風刺ヒトコママンガ」
  • 初期「緑の党」の、選挙ポスターや雑誌広告(日本では活動家やプロ市民がアチコチで勝手に名乗っているけどあちらの本家緑の党はれっきとした連立与党の一角だったこともあるんだよな)
  • 主な絵本の原画
  • アメリ』美術に使われた絵と小道具のランプスタンド
  • 単品の絵画

絵は、0号くらいの非常に小さなものから大判なものまで様々。


この人の作品に惹かれるのは、ペーソスとユーモア溢れる絵の底に、孤独や疎外や不条理を湛えているからだと思う。分かりやすく笑えるはずのモチーフが、どこか、心の奥にある不安や疎外感をちくちくと刺戟する。


例えば、この絵。なんてことない絵のはずだが、俺はなんか不安を煽られる。

そのような感覚は、日本ではユーモラスでメルヘンで癒されるという文脈で受容されている欧米のイラストレータ――例えばトーベ・ヤンソンチャールズ・シュルツetc――にも共通して見られる点だ。その陰影が人を無意識にせよ惹きつける一因なのではないだろうか。


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http://images.google.co.jp/images?rlz=1C1GGLS_jaJP291JP303&sourceid=chrome&q=Michael+Sowa&um=1&ie=UTF-8&ei=H7cYSoW0EYugkQXDtPCBDQ&sa=X&oi=image_result_group&resnum=1&ct=title


俺がイチバン好きなのはこの絵『治療中の犬』。

動物病院に来ているエリザベスカラーつけた犬って、ホントウにこういう表情する。不愉快さ・惨めさ・きまり悪さと、諦めの混じった表情。それは人生そのもののアナロジーであるようにも思われる。


東京の展示は終了したが、以下に巡回する予定。


京都展 2009/6/18〜7/12 美術館「えき」KYOTO
http://www.wjr-isetan.co.jp/Kyoto/
横浜展 2009/9/4〜9/27@横浜そごう美術館
http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/