企業が逆上するとき。


さて。年末に、非常に不快で憂鬱な問題について言及・考察しなければならないわけだが....。いきます。


例のこの問題について。
http://d.hatena.ne.jp/Bushdog/20061222/p1


まずお断りしておくと、この日記は烏賀陽氏擁護の立場を取っています。つまり烏賀陽氏に有利な視点に立つほうにかなり「バイアス」がかかっています、すみません。公平さを期したいかたや客観的な視点を持ちたいかたは、そこらへんをちょっと差っ引いて読んでください。恐縮ですがご斟酌賜りたく。


ただし、擁護する側に立つからといって、批判的な日記やネガティヴなコメントをする奴は叩いてやる!なんて意図は毛頭ありません。「敵か味方かはっきりしろ」とか「味方につかない奴は敵」とかいう考え方はジョージ・ブッシュみたいで嫌なので....。


まず、改めて情報ソースを。


ウガヤジャーナル
http://ugaya.com/index.html
オリコン訴訟についての記事インデックス
http://ugaya.com/column/061224oricon_index.html

ORICON STYLE
http://www.oricon.co.jp/
事実誤認に基づく弊社への名誉毀損について
http://www.oricon.co.jp/news/confidence/40446/
「ライター烏賀陽弘道氏への提訴」について
http://www.oricon.co.jp/news/confidence/40565/

音楽配信メモ - 津田大介氏のブログ
http://xtc.bz/index.php
オリコン訴訟問題の現状の詳細なまとめ
http://xtc.bz/index.php?date=2006-12-25
オリコン訴訟問題についてより深く考えるための参照テキスト
http://xtc.bz/index.php?date=2006-12-26

id:side444さんのまとめページ
http://d.hatena.ne.jp/side444/20061220/1166566265#seemore
http://d.hatena.ne.jp/side444/20061221/1166676309#seemore



この件に関して、最近の注目に値するブログ記事。


Legal Alien - 茶有さん
http://toncotsu.blog67.fc2.com/
http://toncotsu.blog67.fc2.com/tb.php/40-5f7a7956
非常に冷静で客観的な見解で素晴らしい。

確かに現在の音楽業界における「諸悪」の一つではあるけれど、
彼らを諸悪の「根源」にしてしまった時点で、悪しき文化産業論
(巨大資本が愚かな大衆を操作し、音楽の芸術性を破壊している!)に
陥ってしまうと思うので。

(中略)

同じ理由で、自分はオリコンも諸悪の根源だとは思ってません。修論を書くとき、
オリコン年鑑」には本当にお世話になりました。もちろん功罪両方あるけれど、
もしもオリコンがなければ、戦後数十年間に渡り、日本のポピュラー音楽が
どのような歩みを辿ってきたか、諸説入り乱れるばかりで体系的・継続的なデータが
存在しない、という状況が続いたであろうことは間違いありません。これだけでも
オリコンが行ってきた仕事が持つ意義は、とてつもなく大きいものがあります。


ただそうした前提に立った上でも、やっぱり今回の事件は、
何かがおかしいと思うのです。

(後略)

Matimulog - 南山大学法学部教授・町村泰貴氏によるブログ。
http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/

これは凄い。法律の専門家による検証。

オリコンvs.烏賀陽弘道
http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2006/12/vs_2e3a.html

以上の問題について思うのだが、名誉毀損だとして訴えを提起された被告が言論弾圧だというのは方向違いの過剰反応という気がする。

(中略)

しかしながら、言論により他者に批判を加える活動をする以上、これに対する司法を通じた反撃があり得ることは覚悟しておくべきである。
言論は自由だが、言論には責任がつきまとうということ、これは中学の時から習ったはずだ。
そして裁判を通じた救済も、オリコンのような大企業であれ個人のジャーナリストであれ、保障されて当然なのである。

ただし、この事件についておかしなことがないわけではない。

(後略)

あと、コメント欄の応酬が面白い。


...って、この人、「東芝クレーマー事件」を詳しくまとめてた先生じゃん!懐かしい!
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%c5%ec%bc%c7%a5%af%a5%ec%a1%bc%a5%de%a1%bc%bb%f6%b7%ef
東芝クレーマー事件の問題の核心
http://www.ilc.gr.jp/journal/990805_1.htm
うわ、懐かしいなぁ。俺、この事件で初めて2ちゃんねるを知ったよ。これ2ちゃんねる最初の“祭り”だよね。


し、しまった。そっちの話題じゃない(汗)。閑話休題


あと、今回あちこち検索していて、オリコンのサイトが音楽・芸能関係のポータルサイトになっていて、ブログサービスを展開してるのを初めて知った。


そんで、ブログの会員さんで、この事件に言及してるところは、ほんの一握り(数サイト)しかない。
http://partners.search.goo.ne.jp/oricon/web.jsp?PT=oricon&from=oricon&IE=eucjp&RD=DM&Domain=blog.oricon.co.jp&MT=%B1%A8%B2%EC%CD%DB&web.x=15&web.y=9


オリコンは「大家さん」なわけだから、言いづらいとかおっかないとかいろいろあると思う。なにしろこんな事態だから、「自分も迫害されたらどうしよう」とかビビっちゃうよね(笑)。


でも、これ(会員がビビって口をつぐんでいること)こそが、オリコンという企業が世間一般にどう思われてるかを端的に示してると言えるのではないか?つまり「オリコンさんって、やるときはやる、そしてイザとなったら怖い」会社だと思われている、ということではないのか。


その会員さんの中で最も傾聴に値するもの。その勇気には敬意を表したい。


覆面Z@ORICONチャートをゆく
http://blog.oricon.co.jp/writerz/
オリコンがライター烏賀陽氏を提訴」について考える 
http://blog.oricon.co.jp/writerz/archive/718/0

この記事に関して、これほど多くのブログで反響の記事が書かれてるとは想像もしなかった。内容は口の悪い日記に近いものから、メディアと個人の関係、言論の自由の本質に迫ったものまでいろいろだったが(どれがどれとは言いません^^;)、いずれにせよ音楽やチャートとの距離がさまざまな多くの人が、同じベクトルで物を見ていることを感じさせられた。これだけ巨大化した個人メディアを生かすも殺すも企業のやりよう次第だと思うのだ。オリコンブログに所属するブロガーのうち「次はもしかして私が…」と思っている…のは僕だけかもしれないが。

 最後は冗談として、このこともあって年間チャートの総括について記事を書くのを今年は控えました。もし書くならサウンドスキャンや他の媒体(レンタル、着うた、有線…)も見ないと書けなくなっちゃいそうなんで。ちなみに、最新の四季報オリコンの欄にこんな記述があります。

<引用部分>
【最終赤字】Webサイトは広告収入増。が、音楽配信がPC向け、携帯向けとも計画大幅未達。営業益を表記に減額、一転大幅減益。PC向け音楽配信撤退特損で最終赤字転落。08年3月期は広告収入が伸びる。
【撤退検討】赤字の音楽配信は携帯向けの着うた等も07年3月期中に黒字化無理なら撤退へ。経営資源はランキング連動型広告に重点投入。06年11月からネット通販開始。

…もっと力を入れるべき業務がたくさんあるんじゃないでしょうか(^^)


さて、長々と記してきたが、続いて(ようやくかよ!)この事件に関する俺の見解というか見立てというか、そういうことを述べてみる。

以下のような構成になる予定。

  • サイゾーの記事について
  • 訴訟に至る経緯について
  • 訴訟後のオリコンのコメントについて
  • 訴えたオリコンという会社について
  • 訴訟の背景について
  • ヒットチャートビジネスの現在について

(以下続く。長くなったので、項を改めます)