ジェビア/田村/今井@門天ホール


ということで、門仲天井ホールのジャンヌ・ジェビアのライヴに行ってきた。


ジェビア氏は禅の勉強をしてるというのは聴いていたが、学問として研究してるのではなく、本当に禅寺で僧として修行しているらしい。岡山県臨済宗のお寺で修行してるんだって。法名(ほうみょう:僧としての名前)も貰っていて、「常楽(じょうらく)」さん、というのだそうだ。だからブログのタイトルが "Joraku" だったのか〜!


Joraku Gianni Gebbia
http://giannigebbia.blogspot.com/
I've got a new name: Joraku
http://giannigebbia.blogspot.com/2006_02_01_giannigebbia_archive.html


これからライヴに行く人は「常楽さん」と読んであげよう。(^^)


ステージ向かって左から:

  • 田村夏樹(tp)
  • 今井和雄(g)
  • ジャンニ・ジェビア(as, flute)
  1. 田村ソロ
  2. 今井(gut g)ソロ
  3. ジェビア(as)ソロ
  4. 田村+今井(electric g)+ジェビア(as, flute)

今井氏はいつものラミレスのガット・ギターと、コンタクトマイクを付けたオールドのエピフォンのジャズ・ギター、KORGかZOOMのマルチエフェクトと、アンプはポリトーン。ジェビア氏は今回はソプラニーノは持ってきていないらしい。


田村氏のソロは、かすれてややくぐもったような音色のトランペットに、時折り唸り声や怒号のようなハナモデラ語(死語?)のヴォーカリゼーションを混ぜて吹くという演奏。今井氏のソロは、両手タッピングを織り交ぜて、パラパラ・パタパタというパルス状の音が層をなして会場中に広がるような演奏。屋外で雨宿りをして、雨音の色んなバリエーションに耳を澄ませているときのような。


ジャビア氏は、循環呼吸を使ってのソロ。フリー・ジャズやフリー・インプロのラッパで循環呼吸を使うというと、ロング・トーンを延々と伸ばし続けるとか高速のトリルを延々と続けるとかいった“名人芸の披露”という演奏になりがちだが、そういうのではなく、短めのエチュードで色々なバリエーションを聴かせる、という演奏だった。


思うに、ジャビア氏にとって循環呼吸って、もうデフォルト(初期設定)というか色々な演奏のバリエーションのひとつに過ぎないようで、それに何か付加価値やプライオリティをつけてる訳ではない、つまり見せ場とか聴かせどころと考えてる訳ではないみたいだった。絵描きに例えるとキャンバスの下塗りみたいなもんで。絵描きに「キミ木枠にキャンバス張るの上手いね」「下塗り上手いね」とか褒めても意味が無いのと同じように、ジャビア氏に「循環呼吸奏法が凄い」というのも意味が無い、と思った。


演奏は、紙コップ(ビル1階のモス・バーガーでもらってきたヤツ)をミュートにして吹くとか、超高音のフラジオのロング・トーンを響かせるとか。このフラジオのロング・トーンは、山内桂氏も最近よくやる演奏なので、競演が楽しみだ。行ける人羨ましい(つうか、九州方面の即興音楽ファンは必聴!)。それにしても同時に2本のサックスでこれやったらどうなるんだろう。窓ガラス割れたりして(汗)。


ちなみにジャビア氏の音楽は、ミシェル・ドネダやジョン・ブッチャーのように特殊奏法ひとすじ・ステージでは普通の音は出しません、というタイプではなく、ジャジーな音も出すし“音響的”な音も出すし、吹きたいようにやる、という感じ。そこらへんの拘りや屈託はない人のようだ。循環呼吸使ってんだけど音は普通にジャズっぽい、みたいな場面もあったし。


その意味で、共演者に田村氏、という選択は大正解だったと思う。企画の寺内さんGJ!みたいな。NYのダウンタウン系のジャズ/フリー・ジャズから、トランペット/サックス(松本健一)/チューバ(高岡大祐)による音響ユニット "Diver" まで、という振幅を持つ田村氏は、ジェビア氏と音楽的にもベストマッチ。


それが現れたのが休憩挟んで後半の三人の競演。舞台中央でギターをプリペアしたりボールやスライドで弦を擦ったりしてひたすらアブストラクトなノイズを出し続ける今井氏の両側で、田村氏とジェビア氏がキャッチボールをするように、ジャジーなソロと“音響”的なノイズっぽい演奏を交換する、という展開になった。それもアイコンタクトをとったりアドリブ合戦でインタープレイという趣ではなく、お互い勝手にやってんのにいつの間にか自然に入れ替わる、みたいな。凄く息があってたんではないだろうか。


ということで、とても良い演奏、充実したライヴだった。集客が少なめだったのが残念。興味のある方は、是非お運びを。


終演後は、地元門前仲町で最もファンキーな大衆酒場「だるま」で。長身痩躯・銀髪の店主と娘さんの美人姉妹がやってて、大音量でジャズがガンガン流れるという(ただしヴォーカルものやビッグ・バンド中心)店。ここの酎ハイはもの凄く濃い(6対4とか7対3で、6とか7が焼酎)ので、いささか酔っ払った。


ところで、俺はこの日、今年2月ごろユニクロから発売されてたECM Tシャツの「BERLIN CONTEMPORARY JAZZ ORCHESTRA」のヤツを着ていった。ジェビア氏に「あ、それECMのだね」と声かけられたのは嬉しかったが、お客様の側でご存じないかたがけっこういらしたのは意外だったな。出たとき、話題になったよね?極めて狭い世界で(笑)


過去日記(リンクは404で消えてます)
http://d.hatena.ne.jp/Bushdog/20060306#p1


ちなみにこういうんでやんす↓

google:ユニクロ Tシャツ ECM

diskunion新宿ジャズ館ストアブログ: ユニクロECM Tシャツ売ってます!
http://blog1.musicfield.jp/du_ds2/archives/2006/02/ecm_1.html