転換期の作法@現代美術東京都現代美術館

転換期の作法〜ポーランドチェコ、スロヴァキア、ハンガリーの現代美術
http://www.mot-art-museum.jp/kikaku/4/

古い価値体系が覆された後にやってきたのは、必ずしもユートピアという訳ではありませんでした。弱者救済の措置が十分に執られることもないまま、貧富の差は開く一方だといいます。そのような、いわば「資本主義的ジャングル」の中で生き延びるための様々な戦略が必要とされており、作家たちもまたその例外ではありません。たとえば、地に根を張る確かさと、臨機応変の柔軟さ、そしてユーモア精神は、そんな今をたくましく生き延びるための技法といえましょう。また、一見荒唐無稽に見えたとしても、実は入念な観察と奥深い洞察に満ちた作品も多く見られます。

ということで、展示されてるのは社会的な問題とか人々の置かれた状況に言及するような作品が多かった。まぁあんまりモロに“ポリティカル”な作品はなかったけど。おおざっぱに分けると:

  • 女性を含む社会的弱者に目を向けた作品
  • 高度消費社会のパロディという形をとって今起こりつつあることを問いかけ・検証する作品

の2種類になってたと思う。前者はビデオ作品が多かった。


なんで行ってみたかったかというと、アーティストの一人ラクネル・アンタルの「重力倍増スーツ」を試着(?)できるイヴェントがあったからだ。

ラクネル・アンタル《重力倍増スーツ》着用体験デモンストレーション…会期中毎土曜日+日曜日13時〜 
 ※当館企画展示室1階にて、無料(各回限定10名様のみ体験いただけます・当日先着順)
 *健康上の条件によって体験をご遠慮いただくことがあります。 


予想通り、会場は閑古鳥。入館時に即申し込みをいたしましたよ。健康診断の問診票みたいなのを渡されて「なんかあっても美術館側は責任を負わないことに同意します」とかいう文言に署名させられ(苦笑)IDカードを渡される。


俺のカード。1番。東京では*1第一号(笑)。


ラクネル・アンタルの作品は、架空のスポーツ機器メーカー“iners”社製のスポーツジム用トレーニングマシンという設定で、ヘンテコな体力増強用具が展示されている:

  • 物凄く重い携帯電話:ボタンも強く押し込まないと押せない(しかもボタンごとに「弱・中・強」と変えてある)。これを片手で持ちボタンを押して手と指を鍛える。
  • 座って映画を観ながらエクソサイズができる映画館用のシート。
  • 土木作業用一輪車(業界で“ネコ”と呼ぶヤツ)を模したマシン:重いステンレス製の取っ手を持ち上げながら電動で動くベルトの上を歩く。
  • 住宅の壁塗り用ローラーを模したマシン:ダンベルの錘がついたステンレス製のバーを持ち上げる。

百聞は一見にしかず。こんなの。
http://www.artpool.hu/lehetetlen/real-kiall/nevek/laknera.html


来場者が実際にやらせてもらえるんだが、その姿があまりに“お間抜け”なんで、死ぬほど笑う。なんというかこう、TV番組“たけしの誰でもピカソ”のテイストが。(^_^;;


さて、午後一時、いよいよ“重力倍増スーツ”を試着させてもらうことに。重力倍増スーツといっても、別にハイテクなしかけがあるわけじゃなく、単純に宇宙服みたいなスーツの全身に鉛とおぼしき重りが大量に仕込んであって物凄く重くなってるの。ここらへんのロウテクさが東欧っぽいというか。八谷和彦にはなれないみたいな(笑)。


このスーツ、デフォルトで合計40kgぐらいあるらしい。危険なので着る時は係のかたが二人掛かりで補助してくれる。


試着中の女房。

試着中の俺。

バカだ。まさにアート馬鹿夫婦


しかしこのスーツ、マジ重い。「歩いてみてください」とか言われても歩けない。写真撮られる際の日本人の本能“ピースサイン”も、腕が重くて息を切らせながら上げる始末。


「はい、チーーーーーーーーーーーーーーー....ズ」
早くしろ馬鹿(マジギレ)」


マシンジムで心地よい汗(?)を流した後は、美術館地下のレストランで遅い昼食。

レストラン・MOT[B2F]
■営業時間/11:00AM - 6:00PM (ラストオーダー17:00)
■電話[レストラン・モット]03-3630-5828
http://www.mot-art-museum.jp/rest/


企画展にタイアップして、期間限定でチェコの代表的ビール「ピルスナー・ウルケル」が入ってる!いやぁ嬉しいなぁ。ウチら夫婦このビールのファンなの。実はこれが目当てだったつう事情も。
google:ピルスナー ウルケル


このレストラン、予想に反して、料理もとても美味しかった。何しろ以前あったカフェテリア、“食券とおばちゃん”の世界で....モダンアートなど微塵の関心も無い都の嘱託のおばちゃんがエプロンとほっかむりでおさんどんしてるという、作品の余韻もへったくれもない最悪の代物だっただけに。公立施設に付属の食べ物屋に当たり無し、という先入観は改めないといかんのかな。

*1:去年広島市現代美術館でやってたのが巡回してきたみたいだ。