【レポ遅すぎ】9/23 Asian Meeting Festival@新宿Pit-Inn
全くもって遅せーよ>俺。何やってんだか。
すみません、皆様....もう意味無いかもしれませんが、一応、手元のメモと記憶とPCに残した下書きを元に再現いたします....。ダメだなぁ俺。
- リュー・ハンキル:ラップトップPC、コンタクトマイク
- ジン・サンテ:PC(?)詳細不明の機材
- ジョー・フォスター:トランペット、マイクロホン、ミキサー
- Astronoise:
- ホン・チュルキ:ラップトップ
- チェ・ジュニョン:ラップトップ
- I.S.O:
- ディクソン・ディー:ラップトップ
開演前、大友氏から、出演予定アーティストのうち2名が来日不可能になったというアナウンスがなされる。詳細は下記大友氏の日記参照。
http://d.hatena.ne.jp/otomojamjam/20050921
中国当局という組織(を始めとする世界各国の同様の独裁体制)は、芸術家(特にアンダーグラウンドな存在の)にとってはやっぱ色々難しいなぁという印象*1。それより“携帯もなく山奥にふらりといっちゃったらしく音信不通”という台湾のDino氏というのが、天然の風来坊系芸術家っぽくて面白かったなぁ。
リュー・ハンキル
PCからのノイズと、コンタクトマイクを手でいじったノイズをPCに取り込んでループにして出す、という演奏。PAの左右からはそれぞれ別々の音が出て来る。バイクのエンジンのような音だったり、天麩羅を揚げるようなパチパチジャージャーいう音だったり、けっこうバラエティはある。
個人的には最近、こういうインプロものの演奏でループを回すというのは、ちょっとどうかなぁ、と思ってるので、そこのところは気になったが....。いや決してハンキル氏への批判じゃなくてあくまで一般論として、ループ使う即興演奏(ラップトップからエレキギターでデジタル・ディレイ使うのまで)に対して感じる俺の感想というか見解なのだけど。
ジン・サンテ
俺の席からは遠くて、どんな機材を使っていたのかはよく分からなかった(今回の演奏者は皆椅子に座ってテーブルの上で俯いてたので、機材の様子や何やってんのかは総じて分からなかった)。
- チャンネル合わせてないラジオのようなホワイトノイズ
- 低周波のような低い音によるドローン
- 接触不良音系のブツブツいうノイズ
- ジーーーッという三角波のノイズ
- 低音ノイズ+電子音
- 地鳴りのような超低音ノイズが徐々にヴォリューム上がって行き、大音量になって、終わり。
こんな感じだったかな。けっこうキチっと構成されてるというか、組み立てを考えてある演奏という印象を受けた。悪い意味ではなく。
彼に限らず、また今回の出演者に限らず、古今東西のノイズ・ミュージックのアーティストで、けっこう構成されたというか起承転結のような展開がある演奏をする人は、実はけっこう多い。その点、“ノイズ”という単語から演奏される、破壊・混沌・無秩序というイメージとは実はちょっと違うのがノイズ・ミュージックの特徴というか興味深いところだ。その印象は、トリを取ったディクソン・ディー氏の演奏で更に強められることになる。それについては後述。
ジョー・フォスター
この日の出演者の中で、一番、かつての“Off Site”常連組のコンセプトに一番近い演奏を披露したのが、このフォスター氏だ。トランペットを“吹奏楽器”としては扱わず(たまに「フシュー」とか息を吹き込む程度)、“音具”の一種として使う演奏。トランペットのベル部分をマイクロホンに被せてフィードバック音を出し、ハウリングになる直前に引っ込める、という演奏とマイクとミキサーの内部フィードバックとおぼしき演奏(どういう仕掛けになってるのかはよく分からなかった)。
Astronoise:ホン・チュルキ+チェ・ジュニョン
ジョー・フォスター氏が“Off Site”一派を髣髴させたとするなら、こちら、2人組のAstronoiseは、一番いわゆる“ノイジャン”に近い演奏を聴かせた。もしかして太目の大柄+小柄なヲタ系というコンビの見た目がインキャパシタンツを連想させたという先入観かもしれないが(笑)。例によって、どっちがどういう演奏をしていたのか詳細は不明。
I.S.O.
大友氏のブログによると久しぶりだということだが、確かにI.S.O.の演奏を聴くのは何年ぶりだろう。前回は明大前キッドアイラックだったと思うのだが....。
いや、さすがの貫禄、この日の演奏の白眉だった。
Sachiko姐さんはいつものサンプラー、大友氏はメインのテクニクスのターンテーブル。一楽氏は、シンバルスタンドに、十字型の変形シンバル*2と真鍮製のお椀型のベル(詳細不明)をセットしてある。あとは、スチール製のチャイムと、アルミのパイプ(自作?)これらをヴァイオリンの弓で弾く。
- サイン波+チャイムの弓奏
- ターンテーブルからはサラサラとした砂時計の音のようなノイズ、サイン波とシンバルの弓奏
- サイン波と一楽氏が弓で弾く音がモアレを起こしてウネリを生じる中、大友氏の一貫して静かなノイズが線香花火のようにまたたく
- 時折、 Sachikoさんのコンタクトマイク?による接触不良音が差し込まれる
- 一楽氏のアルミパイプ弓奏
- 沈黙。しばらく無音状態で、終わり。
よかったっす。いつまでも聴いていたい、この空間に浸っていたい、と思った。
ディクソン・ディー
トリを飾ったのは香港からの、大友氏とも関わりの長いノイズ・ミュージシャン、ディクソン・ディー氏。ラップトップ1台で、あらかじめサンプリングして仕込んだ音源を元にした演奏。時折体を動かしてリズムに乗りながらPCを操作して行く。
- ギター(?)のループ音
- ダイナモ(変圧器)のような低音ノイズのループ
- 静謐な印象のノイズ
- 何かの逆回転音
- チャイムか鐘の音
- 元が分からないモゴモゴした音
- 風の音のようなホワイトノイズ
- 木を叩いたような音(ウッドブロック?)
- エコーを深くかけたヴィブラフォンのような音
- 風のようなノイズ再び、徐々にヴォリューム上がり最後は大音量で圧倒
- どこかリュック・フェラーリ風の環境音コラージュ
- ギターのサンプリングと思しきアンビエントな音
- 美しくドリーミーなアンビエントサウンド
- 再び暴風のような大音量のハーシュノイズ
- 終わり。
前述したとおり、ノイズ・ミュージシャンには、けっこう構築された音楽を演奏する人が実は意外と多いが、ディー氏もご多聞に漏れずそのタイプ。ただその構築具合が良い意味で非常に洗練されていて、ある意味プログレ組曲とか、ジャム・バンドのジャム用の曲みたいに構成されていた、という印象を持った。
本人達が聞いたら「プログレだとぉ〜〜!?」とか怒りそうだが、音楽の組み立てとして一種“構造主義*3”的な相貌を持ってるというか「キメ→インプロ→キメ→インプロ→クライマックス」という構成になってるという点では、実はそんなに遠くはない。ノイズとプログレというのは、対極にあるようで、ちょうどロールシャッハテストの左端と右端のようなもんで、見方を変えれば実はけっこう近しいものだったりして。
ディー氏の演奏は、この日拍手も最も大きく、会場全体から高い評価を得ていたようだった。
そんなこんなで、とても楽しめたコンサートだったのだが、俺、所用その他で、ONJOのスペシャルバンドや、KDMさんやいしづかさんが出た多人数のライブは行けませんでした。申し訳ない>お二方。
この日のライブで触発されて、“エレクトロニクス機器を使ったインプロ”について考えることはつらつらあるのだが、それはまた項を改めることとする。