落語馬花(ラクゴバカ)@門天ホール
柳家花緑師の一番弟子(だから芸名がショッパナ)の初花さんと金原亭馬吉 (きんげんてい うまきち)さんの二つ目同士で始めた落語会に行ってきた。
http://www13.plala.or.jp/shoppana/rakugobaka/2/rakugobaka2.html
数十人入る門仲天井ホールは、ほぼ満員。二つ目さんの会なのに凄いな(失礼!)。
前座の柳亭こみちさんは、小林幸子を丸顔にして数十歳若くしたような*1女性噺家。滑舌の綺麗な良く通る声は、演劇あがりなのかな?声の通りの良さは他の二人より上だった気がする。
「湯屋番」はいわゆる“一人気違い(おっと禁止用語だ)*2”ネタというもので、道楽者の若旦那が風呂屋の番台に就職しようとしてアレコレ妄想して一人芝居を始めるのを周りで呆れて見物する、という噺。サゲをはしょられちゃったんだけど、時間を決められてたのかな。
「抜け雀」は、寂れた旅篭に何日も居座って酒ばかり呑んでいる客が実は非常に優れた絵師で、宿賃の代わりに描いていった雀が毎朝絵から抜け出して飛び回るのが評判になり…という噺(サゲはぜんぜん違うけど先日歌丸師の噺で聴いた「ねずみ」と同じ展開だね)。馬吉さん中々上手いな。年寄りを演じる時に声色に逃げるのではなくちゃんと老人になっている。
「家見舞」は、兄貴分の新居祝いに水がめを贈ろうという話になった弟分二人、道具屋で買おうしても全く金が足りない、店の軒先にあった“肥えガメ”を分かりゃしめぇと貰い受けてくるが…というちょっと下ネタがかった噺。「お、冷奴いいですね……(げっ)…この水、どこから汲んで来たんで?」「勿論、おめぇのくれた水瓶からよ」「むわ〜〜」
トリの龍志師の「片棒」、これは素晴らしかった。
ケチで因業と評判な大店のあるじが跡継ぎを決めるのに三人息子の器を見定めようと、自分が死んだらどんな葬式を出すか一人づつ尋ねる。長男は店の体面と世間体を第一に考えるが金銭感覚ゼロ、次男は陽気に騒ぐの大好きなだけのお調子者、それに対して三男は親父に輪を掛けたケチンボで…というお噺。
特筆すべきは、龍志師匠が演じて見せたスチャラカ次男の活き活きとした描写だ。
次男が笛や太鼓や三味線のお囃子を口真似するのだが、そのオノマトペの豊かさ。現代に生きる俺たちは、太鼓は「ドンツク」笛は「ピーヒャラ」三味線は「チントンシャン」としか、その音を形容する言葉を知らない。龍志師匠の口からは、例えば笛の調子だけでも何通りのバリエーションが出たことだろう。これはひとえに、江戸の稽古事の“口三味線”というものがいかに豊かな文化であったかを如実に示すものだろう。
更に、芸者衆の手古舞(てこまい)の艶やかさと鳶頭衆(とびがしらしゅう )の木遣(きやり)のいなせさ。
まさに江戸の粋の真髄。本格的に習って、年輪を重ねた人間しかこの味わいは出せない。いやぁ、素晴らしい。はっきり言ってファンになりました。
終演後、ちょっと話を聞いたら、別の場所でやった第一回は狭い・見えない・聞こえないという三重苦で大変だったみたいだ。今回からの参加でよかった(笑)。というか、お客さんがそれだけ入るということは、それなりの動員と集客が見込めるようになっているということなのだから、頑張って欲しい。
【参考サイト】
門仲天井ホール
http://www5f.biglobe.ne.jp/~monten/
柳家初花のホームページ
http://www13.plala.or.jp/shoppana/
弥助・馬治・馬吉の落語会「ひろし寄席」
http://park5.wakwak.com/~rakugo/hiroshi/
まさやのホームページ(落語のあらすじを集めたコンテンツがある。素晴らしい)
http://homepage3.nifty.com/~tomikura/
http://homepage3.nifty.com/~tomikura/rakugo.html
落語検索エンジン「ご隠居」
http://www.edo.net/goinkyo/
ブログで言及されているかた(トラバは飛ばせないみたいだ)
http://ssmaduro.exblog.jp/d2005-07-25