Not Necessarily "Japanese Music"


ということで、行ってまいりました。

  1. mmHz
  2. 和田ちひろ+直嶋岳史
  3. 林達夫
  4. 吉村光弘
  5. Super Dinamic

mmHz

このイベントを企画した河野さんによる、サンプラーデュオ。サンプラー+ミキサー+リズムマシン各1台。サンプラーに仕込んだ色々な音源を即興でカットアップしてリズムマシーンのビートに合わせて乗せていく、という演奏で、2曲。もうちょっとステージ度胸というか、はにかんだりせず堂々としてたほうがいいと思ったぞ。

和田ちひろ

この後連チャンでカリドルのライブがあるためか、早めの出番。テレキャスターを小さくしたようなエレキウクレレとキーボードで弾き語り。サポートで直嶋岳史氏がミキサー内フィードバック音で参加。

  1. ひっこし(ウクレレ+フィードバック)
  2. きめた(キーボード:エレピにディストーションかましたような音)
  3. 夢の中子ちゃん(キーボード:オルガンにトレモロかけたような音)
  4. ウクレレスキャット

ソロ「2days」(俺は未聴)からの曲なのだろうか。タイトルは不明、俺が勝手につけた。


いやなんつーんだろ。何とも形容が難しい。殺伐フォーク?ポストロック+シャッグスアーント・サリーを更に脱力させた感じ?マンガに例えると「ガロ」とか「マンガの鬼アックス」に載ってる奇妙な味の短編みたいな。


ontonsonのディスクレビューでも
http://ontonson.com/scb/shop/shop.cgi?No=843

カリドルのディープな部分(無論、どこをディープと言ったら適切なのかは分かりません!)を凝縮したような超オリジナルな世界観で、置いてけぼりにされることは確実(!?)。

と書かれているが、そのとおり見事に客席を置いてけぼりにして(笑)去っていった。


カリドルは9月に、あの因果モノの城、高円寺「無力無善寺*1」に出るらしいが、この日のソロはあの店にすげぇ似合うと思った(笑)。


テレキャスターウクレレ、これか。カワイイな。
http://www.miyaji.co.jp/ukulele_rock_uke.htm

林達夫

トランジスターラジオ+ミキサー。ラジオはおぢさんが競馬場で聴いてるような銀色のポケットサイズのヤツ。最初にいきなり野球中継で「…さて清原が…」とか言った後(あれは狙って出したのかな?それとも失敗?)は、ずっとホワイトノイズを使っていた。


ラジオのスピーカーから出したりミキサーを通して出したり、ミキサーでトーンを変えたりして音色のバリエーションをつける、という演奏。この日の出演者ではいわゆるノイジャンに一番近い演奏。ずっと立ってテーブルの上にかがみ込んでラジオやミキサーのつまみをいじり続けていたが、背中や腰を痛めそうだと思った。でも弱冠ハタチ。大丈夫か。若いってすばらしい。

Super Dinamic

ギターとターンテーブル+ミキサーのコンビ。ギターはダンエレクトロ。チープなギターだがカッコいいな。エフェクターたくさんつないで、メインのツールはLine 6のDL4 Delay Modeler。ターンテーブルはプラスチック製のチープなポータブルプレイヤー。これをミキサーに斜めに立てかけてあって、わざとちゃんと再生できないようにしてある。


ギターは擦ったり叩いたり引っ掻いたりといったノイズ系の音がメイン、Line 6でループにしていって音のカーテンのような音響を作り出す。ターンテーブルは斜めになってるせいで必然的に針飛びして同じところを繰り返すようになってしまうがそれをうまく活用してループを作っていた。非デジタルのアナログループ。あとLPとシングル盤を重ねて載せたりしていたみたいだけど、俺の位置からは詳しいところは良く見えなかった。

吉村光弘

この日、出色だったのは吉村氏のアコースティック・フィードバック。マイクを1本立ててあるだけで会場のスピーカーや環境音の間で自然に起きるフィードバックを聴かせる、というスタイルは変わらず、今回は手元にヘッドホンを置いて2つのスピーカーの間でもフィードバックを作り、それで全体の音色や音量を変えるのを試みていた(という説明でいいのかな?ちょっと手元とかはっきり見えなかったので)。


これが、非常に面白い。美しく繊細な音のグラデーションが生成されていた。


変化の無い音に苦行的に耳を傾けるのではなく、けっこうダイナミックな動きのあるサウンド。吉村氏も終演後「演奏ぽくやりたかった」と言っていたし。ヘッドホンを手元でちょっと動かすと音が驚くほど変化する。一瞬、テープの逆回転音みたいなノイズが入ってその後トーンが変わるの。インプロの“演奏”と音響の“生成”の、ちょうど中間に位置するパフォーマンス。面白かったなぁ。


なんと形容したらいいか、音の説明がなんとも難しいのだが…。音的には、Sachiko-Mの最初のソロ“Sinewave Solo*2”(あれはフィードバックではないけどね)に近いかなという印象を持った。あれにもうちょっと倍音が乗った感じ(分かるヤツ何人いるんだこの説明で…)。


俺は、はっきり言ってかなり刺激を受けた。アーチストが“化けつつある”瞬間に立ち会った手応えを感じた。Sachiko-M、中村としまるに続く、日本からの第三の刺客になるか。興味は尽きない。


Loop-Lineさんの日記にもレビューあり。
http://d.hatena.ne.jp/loopline/20050710


吉村氏の次回の演奏は、8/5、(h)ear rings vol.6@Loop-Lineだ。しかも対バンはSachiko-M+伊東篤宏のrafflesia。みんな行け。オモロイから。
http://www16.ocn.ne.jp/~hearring/index.html


7/12追記:
早速吉村氏から訂正をいただいた。
> ちなみにお店のスピーカーからは音は出してません。
> ヘッドフォンからの出力だけです。
だそうだ。なおかつ謎だ。あんなに繊細な音が出せるなんて。

*1:三上寛やたまの石川浩司に似たオヤヂが店長をしている「アートバー」と名乗るライブスペース。内装はガラクタとか玩具とかサンリオグッズetcとかが壁や天井にビッシリと貼ってあって一見デムパの人の部屋のよう。対バンとして必ず店長のライブがあるが、全裸にエプロン1枚で出てきてフォークギターで自作のドロドロ自意識中毒ソング(全曲ほとんど同じに聴こえる)を絶叫する。根本敬のマンガの世界そのものを生きているホンモノの人。お友達のバンド見にきて硬直して目を伏せてたり涙目になる女の子多数。HP→http://crazy-pla.hp.infoseek.co.jp/

*2:http://www.japanimprov.com/indies/amoebic/sinewave.html