Send to Return vol.3@千駄ヶ谷Loop-Line

  • Analogic(video, electronics)
  • ノブナガ ケン(guitar)
  • 大島 輝之(guitar, computor)
  • 山内 桂(sax)


Analogic

  1. 何も写っていないビデオ画面+ホワイトノイズからスタート
  2. ブリープ音被っていく
  3. 顕微鏡でバクテリアかなにかが蠢くような画像
  4. 3の画像が変形、雨垂れの水面のような画像へ
  5. 不規則で不定形な印象のノイズ
  6. 画面はモノクロになったりカラーになったりしながら。34が変調しつつ続く
  7. フィードバック音が重なっていく
  8. スタート時の画面に戻っていき、フェードアウト。

終演後に聞いたら、画像はビデオカメラでどこかのパーツを大アップで撮りつつ、単純にズームで近づけたり離したりして見せてただけだった。つまりCGのモーフィングエフェクトなどは全く使用せず。やられた。


ノブナガ ケン
床に座り、普通のアコースティック・ギターを寝かせて演奏。弦は張っていない(後で聞いたら1本だけ張ってあったそうだ)。いわゆるギター演奏は一切なく、サウンドホールに棒を差し込んでこすり、「キキ…キチキチ…」という虫の音のような音を立てるのと、コンタクトマイクで拾った音をフィードバックさせて、かすかな「ヒーーーンン…」という音を出す、というのが断続的に続く。繊細ではかなげな音。ただ繊細すぎて、エアコンや冷蔵庫のモーター音に掻き消されそうになってしまうことも。


大島 輝之
大島氏はストラトPowerBook。いわゆるエレキギター用のエフェクターやアンプ類は使わず、オーディオインタフェースを通してPBに入れたギターの音をその場でリアルタイムに加工して出す。


これがけっこう凄いインパクトがあった。会場は小さいし静かだからストラトの弦を弾く生の音が「チョリン」と聞えるんだけど、その直後に暴力的なサイン波みたいになった音がスピーカーから「ピキーン、キュリーン」と繰り出される。ギターのエンベロープ(音の立ち上がりや減衰)を無視して粗くカットアンドペーストしたり逆回転させたような音をその場でバンバン出していくような感じ。その粗っぽさというかラフさが却って魅力になっている。料理で言えばよく切れる包丁で大根をザクザクとおおまかにぶつ切りにしてドンと出しただけみたいな。うーん、文章だけではあのインパクトは何とも説明がしづらいなぁ。俺としてはエイドリアン・ブリューエフェクターでやったこと―ある意味邪道な極端な使い方をした結果表現として突き抜けちゃった革新さ―以来のインパクトをうけたのだが。


山内 桂
「明日からヨーロッパです」というMCでスタート。山内氏はいつもの山内氏、サックスというよりは「呼吸」を聴かせる演奏に終止……と思ったんだけど、最後のセットで、超高音の循環奏法によるノイジーな演奏が入ったのにはビックリした。鼓膜を傷めるような耳に突き刺さる高音。たった1音を延々延ばし続けて会場を覆いつくす。いわば人力ハーシュノイズ。耳を塞いでいる観客複数。この手の演奏初めてなんですかと聞いたら「こないだ屋久島で初めてやった」と言っていた。犬が反応してたって(笑)。しかし、屋久島といえば、いまや「癒しとスピリチュアルとニューエイジの島(オレ苦手なんだよああいうの…)」なのに、そういう場所でこういう演奏してきちゃうところが凄いというか、タダ者じゃないよなぁ。


山内氏はヨーロッパから帰ったら、東京では6/21なってるハウス、大島氏とのデュオがある。興味のある方はぜひとも。