絶対アンテナ Vol.37@代々木Off Site
「sim & ito/improvisation & composition」と銘打ったsimと伊東氏のセッション。
http://japanimprov.com/offsite/offsitej/index.html
- 伊東篤宏:optron
大島氏はストラトキャスターとPowerBook、植村氏は「オフサイト史上、最初で最後にフルセットのドラムを持ち込んだ」ということで普通(笑)のドラムセット。大谷氏はこの日はPowerBookとシンセ(単なるMIDIコントローラかも)等のエレクトロニクスのみ。出力を、なんとヤカン型のミニギターアンプ(4/28の日記参照)に繋いでいた。伊東氏はオプトロン+エフェクタ(オートワウ等)といういつものセット。
- 前半:インプロ
- 伊東氏+一人づつデュオ
- sim
- 後半:simによる曲2曲+オプトロン
- アンコール:4人による短めのインプロ
前半は、伊東氏がずっとオプトロンを演奏している間に、順繰りに一人一人入っていくという形で進行。
伊東氏は例によって蛍光灯のインバータを「ビャウ〜〜、バババババババババ、ブルルルルルル、ドムドムドムドム.....ビャウビャウ〜〜」(うー、文字にすると何かお間抜けだなぁ...)と鳴らしてた。この日は結構大きめの音量で、ほかの3人に合わせてみたりみなかったり。けっこう音が大きかったのと他の三人が間と沈黙の多い演奏だったので、前半は伊東氏がリードしているような展開に。
大島氏はストラトをほとんどアンプを鳴らさずに生音で演奏、プリペアしたりナットとヘッドの間を弾く時だけアンプで音量稼いでいた。PowerBookからは時折なんらかの音が出ていたが、その場の演奏をリアルタイムで加工したものか事前に仕込んでおいたものかは不明。時折聞こえたテープの逆回転風の音は、ギターの演奏をリバースで再生したのではないかと思うのだが。
大谷氏はPowerBookからサンプラー音のループかシーケンサーの音を鳴らしっ放しにしておいて、やかんアンプの蓋をパコパコ開閉してワウワウパコパコと音を変調してみせる。PowerBook君にしてみれば屈辱の極み(笑)。あと、3人の中で唯一ディレイを使って、ダブっぽい「シュタンタンタンタン...」というエコー音を響かせたりしていた。
植村氏はいわゆる“インプロのドラマー/パーカッショニスト”がやるような特殊な奏法は全く用いず、変則的な4ビートや8ビートをブラシやマレットで無表情に淡々と「トントントントン、コトコトコトコト、シャカシャカシャカシャカ、チーチキ・チーチキ・チーチキ・チーチキ」と鳴らす。
ちょっと、マニ・ノイマイヤーのドラミング(グルグルとかソロとかではなくクラスターやメビウス&プランクに客演してるとき)を思わせる。手数は少なく本当に基本的なことしかしていないのだが、その乾いた演奏には飄々としたとぼけたユーモアがある。
simの3人の演奏は、植村氏のドラムが入って分かったのだが、曲にせよ即興にせよ、中心に植村氏のドラムがあるというような印象を受けた。
イメージ的に、ドラムが作り出す“音でできたモビール”の、枝の一つ一つにギター音や電子音やらがぶら下がってて、前後左右に揺れながら鳴ってるような。淡々としてるんだけど一定の緊張感が、きつ過ぎも緩る過ぎもせずに続くという演奏。隙間だらけなのだが、音が出ていないときも最小限のテンションが持続してるのが何とも不思議な感じ。
....というような演奏が、前半・後半を通して続いたのであった。後半は作曲された演奏ということだったが、大体前半と似たような感じ。ただ、電子音は大谷氏と大島氏のどっちが出しているのかは判然としないことが多い。純粋なサイン波とかは部屋の中をピーーーーーーーーーーーーーーーンン....と回っちゃうので、どこから出ているのか分からないのだ。
強いていえば後半の演奏は、子供向け教育番組(ポンキッキーズとかセサミストリートとかカリキュラマシーン(古いな)とか)の、文字や数字を覚えようみたいなアニメに似合うと思った。「タカタカタカタカタカタカタ。....『あ』。」みたいなやつ。(←褒めてるんですよ、決して貶してないんで)
アンコールでやった短めの演奏はちょっと蛇足というか、緊張の糸が切れて若干グダグダになってしまったが。ちとそこが残念。まぁでもご愛嬌。
参考リンクとトラバ
大島氏の日記
http://hello.ap.teacup.com/applet/ohshima-sim/123/trackback
KDMさんの日記
http://kdmhp.cocolog-nifty.com/kdmblog/2005/04/live05426_vol37_6558.html
mammothさんというかたの日記
http://d.hatena.ne.jp/mammoth/20050426