CDレビュー:ザヴィエ・シャルル "Atlanta"

Off Site でのライブの際に購入。これは面白い!

Atlanta (Ouie Dire Production)

  • Xavier Charles: clarinet
  • Jean Palandre: phonography
  • Marc Pichelin: phonography
  1. Crossroads
  2. East Atranta
  3. Pete at EATS restaourant
  4. Backyard
  5. Freight train
  6. at the barber shop
  7. Rooftop
  8. So Far
  9. Pickup truck

"phonography"*1 とは普通「速記術」のことらしいんだけど(知らなかった....)ここではいわゆるフィールドレコーディング(野外録音)された自然や街のサウンドを素材にして音響作品を作るアートの形態を指すらしい。


Ouie Dire Productionは、フランス人のJean PallandreとMarc Pichelinが運営している "phonography" 専門レーベルで、もっぱらフリー・インプロヴィゼーション演奏家とコラボレーションした作品をリリースしているのが特徴。CD "Atranta" は、Xavier CharlesとPallandre/Marc Pichelinとのコラボ作品。


Ouie Dire の他の作品、ミシェル・ドネダ(Michel Doneda, sax)とのコラボでは、野原や渓谷でサックスを吹くDonedaとマイクを持ったPallandreがお互い自由に歩き回って、サックスの音が遠くなったり近くなったり、鳥の声や水音や風の音と混じるのをそのまま無加工でCDに収録した*2、というのが多い。いわば“生録”派だ。


"Atlanta" は、それら「自然の中で録りっ放し」風の作品とは違って、録音されてるのは、都市(タイトルから分かるように、米ジョージア州でのロケらしい)の音を色々録って、一種“サウンド・ドラマ”風に、非常に緻密に音を作りこんである。リュック・フェラーリの作品を思わせる、つうかぶっちゃけフェラーリ作品そのまんま(笑)。フェラーリ作品と異なるのは、街の風景の音に隠れるようにして、あちらこちらにコッソリとCharles氏のクラリネットが鳴っているところだ。列車が停車するブレーキ音に混じって倍音を「キーーーーーーン」と鳴らしたり、バイクかトラックがボボボボボッ、と左から右へ動くのに寄り添うように「ボ・ボ・ボ・ボ」と吹いてたり。クラリネットの音が、街の音にかくれんぼしてる。まるで保護色になってたり擬態してる虫を捜す楽しみ、みたいな。または音で出来てる「ウォーリーをさがせ!」みたいな(笑)。


宇波氏の日記id:hibarimusicによると、一杯CD持ってきたらしいので、ライブの記念にぜひ1枚(笑)。オススメ。


Xavier Charles
http://www.vudunoeuf.asso.fr/xavier/

Ouie Dire Production:現在サイトは閉鎖中か?
http://odp.free.fr/

しょうがないので、European Free Improvisation Pages
http://www.shef.ac.uk/~ps/efi/efhome.html
Poil - Ouïe Dire Productionのページ
http://www.shef.ac.uk/~ps/efi/labels/poil/cpoil.html

ジョージア州立大学芸術学部のページなのかな?
http://cara.gsu.edu/pulsefield/
3人の経歴。
http://cara.gsu.edu/pulsefield/bio/quie_dire_production.html

*1:直接は関係ないみたいだけどググってたらphonography.orgというのも見つけた: http://www.phonography.org/

*2:自然に聴こえるだけで本当は色々と加工してあるのかも知れないが。いまやProToolsとか使っちゃえば、どこでどういじってるかなんて完璧分からなくできるんでしょ?良く知らんけど。