ザヴィエ・シャルル@代々木Off Site

http://www.hibarimusic.com/j/xc.html

【前半】

  • 宇波拓:PC+スピーカーetc
  • 直嶋岳史:ドラムマシン
  • 戸塚康雄:謎の発信機(?)

宇波氏はいつもの、PCからの低周波でスピーカーを震わせ、その振動でスピーカーに載せた板・金属球などを“鳴らす”演奏。直嶋氏は殆ど動かず、ドラムマシン(YAMAHAのRXシリーズ?)のボタンをごくたまに(数分に1回くらい)叩いてパーカッション系の音を出す。戸塚氏は、えーと、なんか凄いツマミのいっぱいくっついた発信機を持ってきていて、しきりにつまみを回したりしていたけど、ごく小音量(または無音?)で俺のいるところからは今ひとつやっていることが掴めず。申し訳ない。


最後は、3人で硬直して、数分間の長い“沈黙”を“演奏”して、終演。


【後半】

Charles氏は、揉み上げが素敵すぎ。なんつうの、細く一直線状に刈り込んであって、頬骨の辺りで直角に折れ曲がってるの。フランスでは今あれがイケてるのか?
中尾氏は、ソプラニーノクラリネットを常に腿か掌でミュートしていた。大蔵氏はバスクラと、いつものホースを使った自作楽器、“tube”。


3人とも一貫して“普通”の音は出さず、Charles氏はシュワシュワ・クシュクシュ・ズルズル(なんかキタナイな)と言う息音やノイズが中心。楽器を天井に向けてウガイをするようにガラガラ鳴らしたり。中尾氏はずっとクラリネットエスクラと呼ぶのかな?)のベルを腿や掌でミュート(ごくたまに開く)して、間の多い、とても小さなヒーンン...という微音中心。


ん〜〜〜。
だいぶ前の日記(http://d.hatena.ne.jp/Bushdog/20050120#p1)にも書いたけど、俺はJohn Butcher - Xavier Charles - Axel Dornerのトリオ "The Contest of Pleasures"(Potlach P201 http://www.potlatch.fr/) は、ここ数年のいわゆるインプロもののアルバムのベスト10に入る傑作だと思ってるので、Charles氏は「Butcher、Dornerに続く第3の男いよいよ来日!」という感じで物凄く期待していったんだが...。


何と言うか、思ったよりサウンドの幅というかバリエーション狭いのかな、なんて印象をもってしまった...。色んな事やる割には出る音は、よく言えば一貫性がある、悪く言うとちょっと一本調子になっちゃう所が無きにしも非ず、という印象を抱いてしまった。ButcherとDornerをじかに聴いたときはとにかくビックリしたのでまた「こりゃ凄え!」という体験をするかと思ってた俺が期待しすぎた?


この夜は、大蔵氏の演奏が良かったと思う。


Off Site系(いいのかこんな呼び方)の微音ミュージシャンが聴かせる音楽の魅力って、一種顕微鏡的というか、聴覚のレンジを拡張してくれるところにあると思ってる。彼らの演奏は、無音と微音の間に驚くほど多彩で豊かな音のグラデーションがあることを気付かせてくれる。鳴ってるか鳴っていないかの境目に広がる世界。昔見た教育TVの科学番組で、池からすくい上げた一滴のしずくの中に無数の微生物が生きているのを知った驚きのような。


この日の大蔵氏の演奏にはそういうところがあった。バスクラに息を吹き込んで鳴る間際で止めたり、ほんの少し鳴らしてみたり。その微妙で繊細な音使いが心地良い。


...という風な感想を抱きました。この日のXavier氏が持ち球を全て披露したとも思えず、本当はキッドアイラックでの大友氏とのデュオも聴きに行きたかったんだけど都合が合わず残念。大友氏の日記などによると凄く良かったようなのでクヤシー。


参考リンク・トラバ
宇波氏の日記
id:hibarimusic

大友氏の日記
http://d.hatena.ne.jp/otomojamjam/20050423
http://d.hatena.ne.jp/otomojamjam/20050425

amberさんの日記に素晴らしいレビューが。レベル高!負けた。
http://www.enpitu.ne.jp/usr3/bin/day?id=33613&pg=20050416
http://www.enpitu.ne.jp/usr3/bin/day?id=33613&pg=20050424