息の芸術、山内桂ソロ

この日は "The World Famous Barber Shop" (ジョン・ブッチャーの言)こと上尾「バーバー富士」での山内桂(sax)ソロ。このお店で山内氏のサックスを聴くのが夢だった、というか、いつか必ず聴けると思ってたので、ホント楽しみだった。なのに!帰り間際に職場でトラブル発生&対処で、退社時刻が大幅にずれ込み(定時で帰るつもりだったのに!)。上野駅の乗り換え&上尾駅からお店まで走ったせいで、ついた頃には汗ダク。何とか開演直後に滑り込めた。

いやー、良かった。山内さんの演奏の素晴らしさはもう言うまでもないわけだが、至近距離で聴けたことは至福だった。特に、息音の周りに、澄んだサックスの音が縁取るように浮かびあげるさまが、こよなく美しい。以前からやっていた奏法だが、前よりも磨きがかかっていて良い意味でコントロールされている。高速トリルの曲「Salmo」も、アルバム収録バージョンとは全く別の様相をみせていた。息音の占める割合が大幅に増えて、クレシェンド/ディクレシェンドのダイナミクスが大きくとられるようになっていた。その意味でエヴァン・パーカーの高速トリルとは全く違う。

そういえば山内さんは循環呼吸を使わないな。やはり修練している呼吸法と関係があるのだろうか。今度聞いてみよう。

いやしかし、何が凄いって、全然“立ち止まっていない”ところが凄いよな。聴くたびに前進してるっていう。

ということで、堪能させていただきました一夜でした。打ち上げは、観客としてきていたU君と山内さんを質問攻めにしてしまって申し訳なかったかな。帰路はYさんとU君と音楽談義で盛り上がりつつ帰る(終電になってしまった)。U君となぜか突然、ジミー・ジュフリー3はイイ!という話題で盛り上がってしまったのが面白かった。


...それにしても、バーバー富士の幼い娘さん二人、サックス奏者で聴いたことのある人って、ジャンニ・ジェビアシュテファン・コイネジョン・ブッチャーミシェル・ドネダアシーフ・ツァハー、山内桂って...、みんな「しゅーーーー」「かたかたかた」「ぼっ、ぼけっ、ぼっ(注:吃音の大阪弁ではない)」みたいな音しか出さない人ばっかりだよな。彼女たち、サックスって「ああいう音のする楽器」だと思っているんじゃないだろうか?ちと心配。