1991/92年頃の音楽状況
昨日の日記のために、自宅に保管してある「ジャズ批評」や「ジャズライフ」のバックナンバーを引っくり返してみたりしていたんだが、91/92年頃は、フリー/インプロ周辺の音楽シーンは上昇基調にあって、結構活気があって面白かったんだなぁ、と思い出した。
当時目立った動きがあって盛り上がってたバンド/ミュージシャンはこんな感じ:
- ジョン・ゾーン、働きすぎ
- "Naked City" 来日
- 日本で初の "Cobra"
- eva(WAVE)レーベルから続々リリース
- DIW(Disk Union)と提携、"AVANT" レーベル立ち上げ、グロいジャケのアルバム(笑)が続々と。
- JMTレーベル、国内配給開始
- ティム・バーン
- ジョーイ・バロン
- ハンク・ロバーツ
- マーク・ドレッサー
- マルク・デュクレ etc
- フランスARFI周辺の活動、活発化。
- イヴァ・ビトヴァ、ダグマー・アンドルトヴァ来日
- サインホ・ナムチェラク来日
- 渋さ知らズ
- 今堀恒雄・菊地成孔“ティポグラフィカ”
- 佐藤允彦“ランドゥーガ”
今見ると、91年・92年は将に“ジョン・ゾーン・イヤー”とでも言うべき年だったのがわかる。この時期のジョン・ゾーンはリリース量・演奏クオリティともに、ホント凄かった。今と違って(笑)細身で短髪でパンクな面構えで。
JMTと(サブレーベルの)Bambooについては、工藤一幸氏のサイトが日本で一番詳しい。
ジャズCDの個人ページ
http://homepage3.nifty.com/kudojazz/index.html
JMTレーベルのCD特集
http://homepage3.nifty.com/kudojazz/jmt.htm
BambooレーベルのCD特集
http://homepage3.nifty.com/kudojazz/bamboo.htm
しかし、このレーベルのクオリティの高さは驚くべきものだなぁ。今でも古びないシャープで緊張感に溢れるアルバムが何枚もある。凄いや。
91/92年は、他には、デヴィッド・マレイのニューイヤー・カウントダウン・コンサート(@パルテノン多摩、前座はティポグラフィカ)とか、マルク・デュクレの初来日(なんか複数のアーティストのショー・ケースみたいなライヴだったらしい)は、銀座のフランス料理屋「マキシム・ド・パリ」のお食事セットが付いて通し券6万円とか、狂ってんのか、というような企画があったようだ。ここらへんいかにもバブル狂奏曲っぽい(笑)。
こうやって並べてみると、当時、「○○でもなく××でもなく△△でもない」という分類不能音楽が世界のあちこちで同時発生的に勃興してるのが分かるね。
こういう音楽の良い面として、当時の俺みたいな未熟なリスナーでも「新規参入」するのにかなり敷居が低くて入り込みやすかったっつうのがあったと思う。「入門」する必要がなかった、というか。「こないだ初めてコルトレーン聴いて凄い感動したんすよ」「じゃあまず最低限インパルス盤コンプリートからだな」等とくだらねーこと言われずにすむ、みたいな。
特に、この時期のゾーンの活動って、今の日本の即興/実験音楽シーンに凄く大きな影響を与えてると思うな。
という面で。こういう動きは、ちょうど今、日本ではONJOとかDCPRG周辺の人々が引き継いでいるということになるのかな。