4/23 第四回落語馬花@門天ホール


4/23は藤田展@MOMATで疲れちゃって(笑)。帰宅後、セガレに「お昼寝して」とせがまれたら、そのまま猫と一緒に夫婦で夕方近くまで爆睡してしまったのであった。


目覚めたら既に開場時刻で「やべ!」とばかりに駆けつけた門仲天井ホール。会場に着いて初めて気づいたのだが、夫婦ですっかり行くつもりになっていたものの、俺・女房ともお返事や予約を入れていなかったのであった。どっちもてっきり相手が予約か連絡してるだろうと思ってて。なんて失礼なことでしょう。どうもすみません>関係者の皆様

仲入り後は、毎回恒例の豪華ゲスト、今回は柳亭市馬師である。それにしても毎回、何でこんなに渋いゲストを呼べるのか。

それぞれ噺のあらすじは、下記サイトを参照。


落語のあらすじ 索引
http://senjiyose.cocolog-nifty.com/fullface/cat3238561/index.html


「一目あがり」は、サゲをいくつの数字にするかで何パターンかのバリエーションがあるようだが、こみちさんのは「それは芭蕉の句(九)だ」でサゲるやつ。相変わらず三人の中で一番活舌が良くて声が通る。


馬吉さんが演った「死神」って、今回ググッて初めて知ったんだけど、グリム童話が元なのね!なんかこの話の展開って子供の頃読んだなぁって思ってたんだよ。確かアンデルセン童話にも似た話があったようなおぼろげな記憶が。


参考サイトと書籍:


グリム童話と落語「死神」 - 童話作家北村正裕氏のサイト
http://homepage3.nifty.com/masahirokitamura/grimm-rakugo.htm



落語『死神』の世界

落語『死神』の世界

(上記北村氏は本書で論じられているオペラ「クリスピーノ」との関連には否定的なようだ)


馬吉さんの死神は不気味だけど、どこか可愛げがあるというか、漫画やアニメに出てきそうな感じ。今ならキモカワというのか。そういえば馬吉さんて、動物の出てくる噺を演じるといいかも。「狸の札」とか「元犬」とか似合いそう。


この日、気温が高めだったのに何故かエアコンが暖房になってて、更にライトがガッと当たって、汗だくになっちゃってたのが気の毒だった。


初花さんは、独特のフラがあって面白い。長屋の連中を演じるのだが、いかにも口呼吸のせいで脳に酸素行き渡ってなさそうな若者っぽくて(初花さんがソウだと言うのではありませんよ、念のため)笑っちゃう。


市馬師はさすがの貫禄。寄席や落語界の思い出話から「粗忽の使者」へ。あのいかついお顔は、粗忽で不調法なお侍「地武太治部右衛門(じぶだ・じぶえもん)」も、粗野で荒っぽい大工「とめっこ」も、どちらも似合う。


この「粗忽の使者」には思い出がある。これ、俺らが最後に故小さん師匠の高座を見たときのネタだ...。その時はもう、人間国宝、絶句しちゃったりして、非常に見ていて辛い高座だった。絶句している間の客席の緊張感がハンパじゃないの。まるで杉本拓の演奏中の沈黙に立ち会っているような(笑)。その一方で、お孫さんの花緑さんの高座は文字通り花が咲いたようにパーッと明るくて、俺らは花緑ファンになったのであった。


さて俺らが「落語馬花」今回で三度目なのだが、お三方の、棲み分けというかマンガでいうキャラの描き分けが出来上がってきているのが興味深かった。

  • こみちさん:はっちゃけ元気娘系
  • 馬吉さん:母性(及び、ある種の趣味の殿方の)本能刺激系
  • 初花さん:与太郎・与太者系

全然違うキャラの人間が集まってチームを組んで、そこから生じる化学反応がより高みを目指すための原動力になる。音楽シーンでは良くある(というかごく一般的)けど、落語界ではこういう形態ってけっこう特異でユニークなことではないのかな(若手のいわゆる「勉強会」とも、ちょっとニュアンス違うよね)。


つまり、「落語馬花」は、バンド*1である。


大物がゲスト参加っつうのも、こういうの↓の落語版だと考えればいいのかな。

若手バンド+大物芸能人、みたいな。これ、もし意識して企画してたら凄いな>実行委員会の人たち。マーケティングの才能あるんじゃないの(それともそれ系の職業の人々だったりして)。


参考サイト:

柳亭市馬公式サイト
http://www.page.sannet.ne.jp/kazzp/rakugo.htm

柳家初花のホームページ
http://www13.plala.or.jp/shoppana/

*1:今のJ-POPSの「ユニット」という呼称と形態は、俺キライなの。女の子1人+作曲の男の子、ツアーの時のバックはスタジオミュージシャンって、結局、事務所の経費の都合なんじゃね?と思ってしまう。