寡黙で繊細な音盤たち

はてなダイアリーには「はてなダイアリーブック」と称して、ブログをオンデマンド印刷の本にしてくれるサービスがある。
https://www.hatena.ne.jp/info/hatenadiarybook


サウンドアーティストの角田俊也氏(id:nice_pairid:omay_yad)が、ディスク・レヴューのブログ「寡黙で繊細な音盤たち」をこのサービスを利用して本にして希望者に頒布するのを知って、早速申し込んだ(タイトルで「書籍?」としたのは書店に流通する本ではないからだ)。


角田氏のプロフィールや作品については以下を参照:

google:角田俊也
PLOPのサイトから:
http://www.inpartmaint.com/plop/
Toshiya Tsunoda INTERVIEW
http://www.inpartmaint.com/plop/PLOP-FEATURE/tsunoda.html


届いた本はA5版よりやや小さめ。なんか大学の教科の副読本を思い出すようなそっけない体裁だが、これがかえって内容に合っている。最近、通勤のお供としてよく読んでいる。


女房は、俺が好んで聴いている音楽をよく「冷蔵庫のスイッチの音みたい」と形容するが、ここで取り上げられてる音源はそんなんばっか、というか、それ系の極地ともいうべき音源ばかりである。


取り上げられているディスクを分類するとだいたい以下のとおり。

  1. いわゆるサウンドアート、実験音楽、最近の即興シーンのアーティストによる作品
  2. 現代音楽の変り種
  3. 70年代のプログレサイケデリック・ロックの変り種
  4. 非音楽家のアーティストによる作品:コンセプチュアルアートの朗読作品など
  5. 東欧(旧ソヴィエト圏)の音楽
  6. 民族音楽
  7. 鑑賞用ではない実用・教育用音源

1では、角田氏自身の作品の他、角田氏が運営していたレーベルWrKのアーティストや、杉本拓や宇波拓など90年代後半以降の「静寂系」ミュージシャンの作品とか


2では、例えばトライアングルを握ったまま延々叩き続けるアルヴィン・ルシエの作品:手の熱が金属に伝わって僅かに膨張するにつれて音が変わっていく、とか


7では、医学研修用の心臓の鼓動を聞き分ける訓練のためのレコード(!)とか、冷戦時代に諜報活動で使われた、短波放送で乱数の数字を延々アナウンスしてるのを収録したCD5枚組(!!)とか。


これを読んでどう思うだろうか。「なんだそりゃ(爆)」と笑うだろうか。
俺はもう、萌え萌えである。欲しい。聴きてぇ〜。


秋田昌美氏がメルツバウを始める前に80年代の「Fool's Mate」誌(ヴィジュアル系ロックマガジンじゃなかった頃)に連載していたメール・アート*1系レコード/カセットの紹介も思い出すなぁ。

*1:ここでいうメールとは電子メールではなく「郵便」である。ArtWords - メール・アート http://www.dnp.co.jp/artscape/reference/artwords/k_t/mail_art.html