アルフォンス・ミュシャ展

やっぱ圧巻なのは、言わずもがなだが、パリ期の装飾パネル/ポスターだ。
もう本当に、ためつすがめつ全体から細部まで何度眺めても凄いな。つくづくアルチザン(職人)としての仕事の凄さに圧倒されてしまう。


アルフォンス画伯には申し訳ないが、晩年のスラブ民族テーマの連作はどうもイマイチ冴えないな。成熟した立派な仕事だしナチへの抵抗も偉いと思うが....、それが芸術としてのレベルと必ずしもシンクロしているとは限らないところは何ともいえない気持ちになってしまう。情熱を注いでいることが伝わるだけになおさら....。


今回面白い・興味深いと思ったのは、最近再評価の動きがあるという、心象風景を割と自由に表現したと思われる一連のパステル画だ。
神秘主義的・オカルト的・表現主義的で、いわゆる“ミュシャっぽい”様式でも後の民族主義的な様式でもないの。
自分でも途中で“こういうの向いてないや”と思ったのか、ほぼ廃棄されたような保存状態悪い作品ばかりだったらしいが、最近修復されて見ることができるようになったというもの。
クノップフとか、ムンクが描いたと言ったほうが通るのではないかと思われる、ダークで一種デモーニッシュな絵。はっきりいって結構気に入った。こういうテイストは好き。
こればっかり集めた企画展があったら観たい。「The Dark Side of Alphonse Mucha」みたいな。
ググっても画像が見つからないのはまだ再評価され始めたばかりだからか?
ここ↓の
http://www.epdlp.com/pintor.php?id=320
「El abismo」という作品がその手の作品。ね、絶対ミュシャだと想像つかないでしょ。


なお、雨天の平日だというのにもの凄い人出だったので、これから行こうと思っている人は日取りを考えたほうがいい。できれば平日の午前中とかにしたほうがいいと思う。休日だと酷いことになってそうな気がする....。