レビュー:大友良英「ギター・ソロ」
- アーティスト: 大友良英
- 出版社/メーカー: インディペンデントレーベル
- 発売日: 2005/02/20
- メディア: CD
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アルバム情報
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1, 3, 4, 5, 7, 9 がアコースティックによる静謐なソロ、2, 6, 8 がエレクトリックによるフィードバックソロ。
アコースティック曲
大友氏の手がけたサントラからの1, 3, 5 およびエロール・ガーナーの7は、メロディラインをコツン・コツンと、つっかえるように紡いでいく演奏。デューク・エリントンの4とオーネット・コールマンの9は、それに加えて弦にプリペアを施したり、ペグ(糸巻)〜ナット間やブリッジ〜テールピース間を弾くことで、メロディの途中に鐘やゴングのような音が挟み込まれる演奏になっている。
大友氏はアコースティック演奏では共通して、器用に滑らかに流れていくことを排し、つっかかり・吃り・言い澱むような演奏に終始している。またはメロディを弾き終えるのを惜しむような・間を長めにとって余韻を楽しむような。
通常のギター演奏ではノイズ・不要な音または“しくじり”として“無かったこと”にされる弦のきしむ音も、演奏の中に取り入れられ、あまつさえ大友氏はその音を楽しんでいるように聴こえる。
数回聴いてふと気づいたのだが、一連のアコースティック曲のテンポは、ちょうど子守唄のテンポに近い。子供やペットを寝かしつけるとき体を体を軽く叩きながら歌う、そのテンポだ。
例えば映画「カナリヤ」のテーマ曲である1。ギターの弾く主旋律に合わせて
♪カーナリ ♪ヤーは、 ♪うーたー ♪うー
♪の位置で叩くと、子守唄のテンポになっていることが分かる。
このアルバム及び自身のギター演奏についての大友氏の言葉:
http://d.hatena.ne.jp/otomojamjam/20050215
ここにはいっているのは、いろいろな事情で、一時ギタリストたることをあきらめた人間が、映画音楽や友人達のちからをかりで、もう一度ギターを演奏するまでに至った過程を納めたようなアルバムでもあります。
(中略)自分でも自分がうまいギタリストだとはまったく、これっぽっちも思っていませんが、でも自分の音楽を等身大で演奏できる唯一のギタリストは自分しかいないのも事実ですし、そんなわけで、やっと、本当にやっと、出す気になりました。
(中略)やっとすっと立っていられるようななった感じかな。
このようなスタンスで、いわば“素のまま”でした演奏が、偶然(必然?)にも子守唄のテンポになっているというのは、とても興味深い。
また、このアルバムでのアコースティックギターの音質は、非常に、良い。この種の即興ものでこれだけアコースティックギターの音が良かったのは、ジム・オルーク「Remove the Need」「Happy Days」以来だと思う。
(続く....エレクトリックについては後日)
参考アルバム:
ジム・オルーク
http://tisue.net/orourke/
↑注意:このサイト重すぎる。
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ローレン・マザケイン・コナーズの諸作
http://www.fvrec.com/lorenmazzacaneconnors/