柳家花緑@パルテノン多摩小ホール

http://www.parthenon.or.jp/
2005/2/12[土] 14:30開場 15:00開演 小ホール

http://www.me-her.co.jp/karoku/karoku.html#

経歴
1987年3月 中学卒業後、祖父柳家小さんに入門。前座名 九太郎。
1989年9月 二ツ目昇進。小緑と改名。
1994年 戦後最年少の22歳で真打昇進。柳家花緑と改名。

'94年 戦後最年少で真打昇進を果たし、今や落語にとどまらず、テレビ番組・CM・舞台などでもひっぱりだこの落語家 柳家花緑がお贈りする魅力満載(落語ニ席とピアノ演奏)の独演会!!

  1. 前座:柳家花ごめ「初天神
  2. 柳家花緑「時蕎麦」
  3. ピアノ+お歌のコーナー
  4. 柳家花緑中村仲蔵

花緑の噺を初めて聴いたのは2000年7月、新富町の中央会館での故・小さんの独演会の前座だったと思う。

もう当時の人間国宝・小さん師匠は衰えが激しく、大野一雄ほどとは言えないけど、声は出ないは、表情は死んでるは、高座で絶句してしまうは(“間”とかいうレベルではなく)で、もうはっきり言って観ているのがかなり辛かったのだが....。初めて観た花緑の勢いが凄かった。

第一印象、ロックで言うとデビュー当初のエドワード・ヴァン・ヘイレン、映画で言えば「アマデウス」でのヴォルフガング・モーツァルトの登場シーンのようなインパクト。“陽気な神童”“屈託なき天才”という言葉が思い浮かんだ。「大工調べ」の長台詞を一気にまくしたてて聞かせる力技に舌を巻いてしまった。あのときの花緑はトリのおじいちゃんをすっかり喰っていたと思う。

その後、NHKの放送で“小さん・花緑 超時空二人会”という、生前のおじいちゃんのインタビューテープと会話したり交互に噺を進めるという(ナタリー&ナット・キング・コールの“Unforgettable”または平井竪&坂本九“見上げてご覧夜の星を”みたいな。でもアレよりずっと難しそうだった)前代未聞の試みへの挑戦などに触れてすっかりファンになってしまったのであった。

この人の好きな点は:

  • 影のない、カラッとした明るさ:ウェットな人情話や年輪が似合う段階ではないのだが(本人チャレンジしてるけど)、全然気にする必要ないと思う。それを補って余りある、得がたいフラがある。
  • ヴィルトゥオーゾ的な超絶テクニック:上記「大工調べ」参照
  • 呼吸や間の取り方のモダンさ:いかにも落語家って感じの、あの歯の隙間から息を吸い込むような呼吸と間が少なく、スッキリして聴きやすい。

...んな感じか。

それに良い意味で器用な人で、歌に芝居(山の手事情社の『夏の夜の夢』観たかった〜)にNHKの語学高座講座の生徒(しかもアラビア語!!)までこなす。これがまた器用貧乏にならずにどんどん芸の肥やしになっているところが素晴らしい。

いやいや、とにかく腹を抱えて笑って大満足。上り坂にいる芸人の勢いと輝きとはこういうものか、という思いを新たにした一日だった。